RD-E:1600 ダミー設定
Altair Radioss陽解法ソルバーまたはRadioss陰解法ソルバーを使用した、衝突解析前にシート上に設置されたダミーの準-静的荷重解析。
使用されるオプションとキーワード
- /SHELL、/BRICKおよび/BEAM要素
- 陽解法による準-静的解析、運動学的緩和と動的緩和(/KEREL、/DYRELおよび/ADYREL)、Rayleigh減衰(/DAMP)
- 接触インターフェース(/INTER/TYPE7)
- ハイパーフォーム材料(/MAT/LAW62 (VISC_HYP))
- 線形弾性材料(/MAT/LAW1 (ELAST))
- 一般的なソリッドプロパティセット (/PROP/TYPE14(SOLID)) とシェルプロパティ(/PROP/TYPE1(SHELL))
- ボイド材料(/MAT/LAW0 (VOID))とボイドプロパティ(/PROP/TYPE0 (VOID))
- 付加質量(/ADMAS)
- 境界条件(/BCS)
- 重力(/GRAV)
- 剛体(/RBODY)
入力ファイル
モデル概要
モデリング手法
- 外部サーフェスのみを有するダミーが剛体として定義されます。
- シートは次の6つのパートで構成されています:
- フォームのシートバック
- フォームのシートクッション
- シートバックブレース
- シートボトムブレース
- シートレッグ
- フロア

図 2. モデルのメッシュ. 左図:透視ビュー – 陰影表示、右図:外形ビュー – エッジ表示

図 3. 剛体のセットアップ
シートの構造とフロアは剛体内で定義されます。シミュレーション中には、シートクッションパートのみが変形可能です。
メイン節点の座標とスキュー座標はダミー剛体の腰のパートから取り出されています。

図 4. 選択した節点(黄色)における入力重力関数(-9810 mm/s-2)
シートおよびフロア剛体のメイン節点は固定されています。

図 5. 剛体のメイン節点上の境界条件
材料特性
- 材料特性
- 値
- ヤング率
- 210000
- ポアソン比
- 0.3
- 密度
- 7.8E-9 ton/mm3
- 材料特性
- 値
- グラウンドせん断係数
- (0.02,2), (0.01,-2)
- ポアソン比(フォーム挙動)
- 0
- 密度
- 7.8 x 10-9 ton/mm3
- 材料特性
- 値
- ヤング率
- 2070
- ポアソン比
- 0.28
- 密度
- 5E-11 ton/mm3
要素特性
- Isolid
- 24 (HEPH)
- Icpre、IframeおよびIsmstr
- -1(推奨値)にセットします。
他のパラメータはデフォルト値(0)に設定されます。
- シートバック板厚
- 2 mm
- フロアの板厚
- 1 mm
使用されるシェルプロパティは、すべてのパラメータのデフォルト値です(0)。
- 面積
- 2580 mm2
- 慣性
-
- IXX
- 554975 mm4
- IYY
- 554975 mm4
- IZZ
- 937908 mm4
- ダミー板厚
- 1 mm
接触インターフェース
- シートフォームはメインサーフェスを定義し、ダミーパートはセカンダリ節点を定義します。
- ダミーパートはメインサーフェスを定義し、シートフォームはセカンダリ節点を定義します(対称接触)。
- フロアはメインサーフェスを定義し、ダミーの足はセカンダリ節点を定義します。

図 6. TYPE7対称インターフェースと足-フロアインターフェースでの接触のモデル化
- 接触ギャップ
- 5 mm
- Coulomb摩擦
- 0.3
- 剛性
- 4(メインとセカンダリの間の最小剛性)
- 最小剛性
- 1000N/mm(通常は自動車衝突解析用の値)
- 摩擦定式化
- 2(剛性)
TYPE7インターフェース定義の詳細については、Radioss Theory ManualおよびStarter入力をご参照ください。
解法
- 陽解法ソルバー:
動的解法を使用した準-静的シミュレーションでは静的つり合いに収束させるため動的効果の最小化が必要になります。これは通常、動的解析前のプレロードの場合を記述します。このように、モデルへの重力荷重の準-静的解は過渡応答の定常解部分になります。
最初の解析が実行されると、重力荷重による動的効果が確認され、それらの結果が動的効果を低減するためのさまざまな手法と比較されます。
動的効果を低減するため、Engineファイルで次のオプションが利用可能です:- 運動エネルギー緩和(/KEREL)
運動エネルギーが最大値に達するたびに、すべての速度は0に設定されます(追加の入力パラメータは不要です)。
- 動的緩和(/DYREL)
- ユーザー定義の減衰係数と減衰する期間による動的緩和。
- 動的緩和なしのモデルが計算され、減衰する期間が特定されて、/DYRELカードのパラメータが定義されます。
- 動的緩和(/ADYREL)
- 自動定義のアダプティブ減衰を含む動的緩和。
- Radiossソルバーによって、減衰する期間が自動的に定義されます。設定するパラメータはありません。
- Rayleigh減衰(/DAMP)
- 局所座標系または全体座標系のどちらかで、任意の節点自由度について、節点のセットに適用される質量と剛性のレイリー減衰係数。
- この場合、質量が減衰され、運動エネルギーが低減される必要があります。
- パラメータは、減衰パーセンテージを計算時間ステップで除算した値として定義されます。
さまざまな定式化の詳細については、Radioss Theory Manualをご参照ください。
- 運動エネルギー緩和(/KEREL)
- 陰解法ソルバー:
ただし、陰解法アルゴリズムはグローバルな解法を用い、それぞれの時間ステップで収束計算を必要として陽解法に比べてロバスト性は低くなります(0ピボット、高い非線形性での発散など)。
陰解法はそれぞれの時間ステップで線形系を解くことが必要になり、相対的に高価になりますが、計算全体としては安価になることがあります。陽解法は問題によって線形または非線形系を扱います。それぞれのステップはより安価で高速ですが、スキームの安定性を保証するために短い時間ステップを必要とし、安価ですが多くのサイクル数となります。
この例では、以下の陰解法とソルバーを使用します:- 非線形ソルバー
- 力の相対残差を使用した修正ニュートン法(/IMPL/NONLIN/1)
- 線形ソルバー
- 直接法ソルバーMUMPS(/IMPL/SOLVER/2)
- 準-静的解
- スケールファクターを使用した質量と慣性を考慮します(/IMPL/QSTAT/DTSCAL)。
- 時間ステップ
- 弧長法を使用して収束を加速および制御します(/IMPL/DT/2)。
- 時間ステップコントロール
- 初期(/IMPL/DTINI)、最小と最大の時間ステップ(/IMPL/DT/STOP)
さまざまな定式化の詳細については、Radioss Theory Manualをご参照ください。
結果
曲線とアニメーション

図 7. ダミーのZ方向変位の結果と内部エネルギーの合計
緩和や減衰のないモデルを除き(これは想定どおりです)、使用されているすべての方法で結果はほぼ同じです。
- モデル
- 収束時間
- 減衰なしの陽解法
- 静的つり合いに収束できない
- Explicit ADYREL
- 0.4
- Explicit DYREL
- 1.5
- Explicit KEREL
- 0.2
- Explicit RAYLEIGH
- 1.5
- Implicit Nonlinear
- > 1.5
まとめ
動的緩和ありのモデル(/DYREL)、自動動的緩和(/ADYREL)、レイリー減衰(/DAMP)は、同じ結果に収束します。自動動的緩和は短時間で収束します。
結果が方法ごとに多少異なる可能性があり、その主な原因は、接触の取り扱い、接触の始まり方、弾性振動に従った接触の進展のし方です。