/FAIL/TAB2
ブロックフォーマットキーワード この高度な破壊モデルでは、応力軸性、ひずみ速度、Lode角、要素サイズ、温度の関数として、破壊時の塑性ひずみを定義できます。
応力軟化を生じさせる応力計算との連成は、さまざまな機能を通じて使用することもできます。これは、完全に連成するか、ネッキングを制御するための不安定性ひずみのような他の現象によって引き起こすことができます。損傷は、指数関数的進展の使用に基づいて累積されます。この基準は、ソリッドとシェルの両方に適合しており、非局所正則化と共に使用できます。
フォーマット
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
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/FAIL/TAB2/mat_ID/unit_ID | |||||||||
EPSF_ID | FCRIT | FAILIP | PTHICKFAIL |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
N | DCRIT | INST_ID | ECRIT |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
FCT_EXP | EXP_REF | EXP |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
TAB_EL | IREG | EL_REF | SR_REF1 | FSCALE_EL |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
SHRF | BIAXF |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
FCT_SR | SR_REF2 | FSCALE_SR | C_JCOOK |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
FCT_DLIM | FSCALE_DLIM |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
fail_ID |
定義
フィールド | 内容 | SI単位の例 |
---|---|---|
mat_ID | 材料識別子 (整数、最大10桁) |
|
unit_ID | (オプション)単位識別子 (整数、最大10桁) |
|
EPSF_ID | 破壊時塑性ひずみテーブルの識別子。 (整数) |
|
FCRIT | 破壊塑性ひずみテーブルのスケールファクター。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
FAILIP | ソリッド要素の削除が開始される破壊積分点の数。 デフォルト = 1(整数) |
|
PTHICKFAIL | シェル要素の削除が開始される破壊層のパーセンテージ。 デフォルト = 0.0(実数) |
|
N | 損傷累積指数。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
DCRIT | 応力軟化を引き起こす限界損傷。 デフォルト = 0.0(実数) |
|
INST_ID | 不安定性(ネッキング)塑性ひずみテーブルの識別子。 (整数) |
|
ECRIT | ネッキング塑性ひずみテーブル識別子のスケールファクター。 (実数) |
|
FCT_EXP | 応力軟化指数関数の識別子。 (整数) |
|
EXP_REF | 応力軟化指数関数の参照要素サイズ。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
EXP | 応力軟化指数関数のスケールファクター。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
TAB_EL | 要素サイズスケーリングテーブルの識別子。 (整数) |
|
IREG | 要素サイズ正則化のフラグ。
(整数) |
|
EL_REF | サイズスケーリングテーブルの参照要素サイズ。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
SR_REF1 | サイズスケーリングテーブルの参照ひずみ速度。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
FSCALE_EL | 要素サイズスケーリング関数のスケールファクター。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
SHRF | 要素サイズスケーリングの下方応力軸性境界値。 デフォルト = -1.0(実数) |
|
BIAXF | 要素サイズスケーリングの上方応力軸性境界値。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
FCT_SR | ひずみ速度依存関数の識別子。 (整数) |
|
SR_REF2 | ひずみ速度依存関数の参照ひずみ速度。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
FSCALE_SR | ひずみ速度依存関数のスケールファクター。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
C_JCOOK | Johnson-Cookひずみ速度依存係数。 デフォルト = 0.0(実数) |
|
FCT_DLIM | 損傷限界関数の識別子。 (整数) |
|
FSCALE_DLIM | 損傷限界関数のスケールファクター。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
fail_ID | (オプション)破壊基準識別子。 9 (整数、最大10桁) |
例(鋼材)
#RADIOSS STARTER
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/UNIT/1
unit for mat
# MUNIT LUNIT TUNIT
kg mm ms
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/MAT/PLAS_JOHNS/1/1
Steel
# RHO_I
7.8E-6 0
# E Nu Iflag
210 .3 0
# a b n EPS_p_max SIG_max0
.4 .5 .5 0 0
# c EPS_DOT_0 ICC Fsmooth F_cut Chard
0 0 0 0 0 0
# m T_melt rhoC_p T_r
0 0 0 0
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/FAIL/TAB2/1/1
# EPSF_ID FCRIT FAILIP PTHICKFAIL
52 0.9 0 1.0
# N DCRIT INST_ID ECRIT
2.0 0 53 0.5
# FCT_EXP EXP_REF EXP
0 0 2.5
# TAB_EL IREG EL_REF SR_REF1 FSCALE_EL
0 0 0 0 0
# SHRF BIAXF
0 0
# FCT_SR SR_REF2 FSCALE_SR C_JCOOK
0 0 0 0
# FCT_DLIM FSCALE_DLIM
0 0
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/FUNCT/52
epsf vs triax
-0.333 3.009955556
-0.3 2.728211
-0.25 2.33840625
-0.2 1.987976
-0.15 1.67692025
-0.1 1.405239
-0.05 1.17293225
0 0.98
0.05 0.82644225
0.1 0.712259
0.15 0.63745025
0.2 0.602016
0.25 0.60595625
0.3 0.649271
0.333 0.700985898
0.35 0.663237826
0.4 0.567983816
0.45 0.496266718
0.5 0.448086532
0.55 0.423443259
0.577 0.419921961
0.6 0.428924499
0.625 0.459765672
0.65 0.512542413
0.666 0.559913333
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/FUNCT/53
0.333 0.700985898
0.35 0.647131801
0.4 0.511235623
0.45 0.408918886
0.5 0.34018159
0.55 0.305023734
0.577350269 0.3
0.6 0.316714456
0.625 0.373975356
0.65 0.471962671
0.666666667 0.559913333
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
#enddata
/END
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
コメント
- /FAIL/TAB2破壊基準は表形式の基準であり、応力軸性やLodeパラメータなどの依存性を伴う破壊時塑性ひずみのユーザー独自マップを自由に定義することを可能にします。この破壊時塑性ひずみを使用して、下記の損傷変数の進展を計算します。この基準では、次のような損傷計算によって応力軟化効果を生成することもできます:
(1) ここで、- 損傷応力テンソル。
- 無損傷有効応力テンソル。
- 応力軟化を引き起こす限界損傷値。
- 指数パラメータ。
- /FAIL/TAB2を使用するには、下記の損傷累積の計算に使用される破壊時の塑性ひずみを定義する必要があります。これは、FCRITパラメータのみを使用した定数とするか、EPSF_IDテーブル識別子が指定されている場合は表形式にすることができます。表形式の破壊時塑性ひずみは、応力軸性、Lodeパラメータ、温度に関して定義されます:
(図 1) EPSF_IDが定義されている場合、FCRITは、破壊時塑性ひずみマップ全体をすばやく増減させるためのスケールファクターになります。
- FAILIPは、高次ソリッド要素または完全積分ソリッド要素のみに使用される整数値です。これは、ソリッド要素の削除が開始される破損積分点の数を定義します。
- PTHICKFAILパラメータは、シェル要素に使用される実数パラメータです。PTHICKFAILが空白であるか、0.0に設定されている場合、シェルプロパティのPTHICKFAILの値が使用されます。PTHICKFAIL > 0.0の場合、シェルプロパティで定義されたPTHICKFAILの値は無視され、この破壊モデルに入力された値が使用されます。
PTHICKFAIL > 0.0の値の場合、板厚方向の破壊積分点の比率がPTHICKFAIL以上になると、シェル要素が破壊されて削除されます。
- 損傷変数の進展は次の式で与えられます:
(2) Nパラメータを使用すると、塑性ひずみ形状を伴う損傷の進展の形状を、線形(デフォルトで設定されるN = 1)から非線形(N ≠ 1)に変更できます(図 2(a))。Nが増大すると、応力軟化効果の遅延も発生します(図 2(b))。
- DCRITパラメータでは、応力軟化を引き起こす損傷変数値を定義できます(図 3)。デフォルト値のDCRIT = 0.0を使用すると、損傷変数は常に応力計算に影響を与え、塑性の開始時点から軟化効果が生じます。ただし、この応力軟化効果をより大きい損傷変数値(0 < D < 1)に遅延させるか、応力軟化の効果をカットして、損傷値が1に達すると要素は耐荷力を失うという完全破壊基準アプローチを実現することもできます。
- DCRITの定数値を使用して応力軟化を引き起こす代わりに、ネッキング制御プロセスを使用できます。このプロセスを定義するには、INST_IDパラメータとECRITパラメータの一方または両方を使用します。これらのパラメータを定義すると、不安定性変数という
で表されるもう1つの変数進展が計算されます:
(3) この不安定性変数の進展は、損傷変数と似ていますが、応力軟化を引き起こすために達する基準を表し、ひずみの局所化とその後のネッキング(特に高い応力軸性において見られる)が始まることを意味します。この基準に達すると( = 1)、損傷変数Dがとる瞬間値がDCRITの値に保存されます。これは、定数値ではなく要素履歴変数になります。この場合、入力カードで定義されたDCRITの値は無視されます。
ECRITを使用すると、一定のネッキング塑性ひずみを定義できます。ただし、このネッキング塑性ひずみは、応力軸性、Lodeパラメータ、温度に応じてテーブルINST_IDを使用して定義できます。この場合、ECRITは不安定性塑性ひずみテーブルのスケールファクターになります。目に見える効果を得るには、不安定性塑性ひずみは、破壊塑性ひずみを下回っている必要があります(図 4)。 - 損傷累積の形状をNパラメータで制御できる場合でも、応力軟化におけるもう1つの非線形性を指数EXPで定義できます(図 5)。EXPパラメータが単独で定義されている場合、この指数は一定にするか、FCT_EXPが指定されていれば、要素サイズに応じて進展することができます。この関数が使用される場合、EXP_REFは参照要素サイズであり、EXPはスケールファクターになります。デフォルトでは、EXPは1.0に設定され、線形減少となります。
- 要素サイズスケーリングを使用して破壊を正則化し、さまざまなメッシュサイズで消散されたほぼ一定の破壊エネルギーを確実に求めることができます。この要素サイズ依存性は、テーブルTAB_ELで定義された
で表されるサイズスケールファクターを計算することで導入されます。これらのテーブルの依存性は、以下のようにIREGフラグの値に依存しています:
- IREG = 1: このテーブルでは、初期要素サイズとひずみ速度に関して、要素サイズスケールファクターの進展が定義されます: この場合、EL_REFは参照要素サイズ 、SR_REF1は参照ひずみ速度 です。
- IREG = 2: このテーブルでは、初期要素サイズと応力軸性に関して、要素サイズスケールファクターの進展が定義されます: この場合、EL_REFは参照要素サイズ であり、SR_REF1は無視されます。
どちらの場合でも、FSCALE_ELは、このテーブル全体の値をすばやく増減させるスケールファクターです。このように計算された要素サイズのスケールファクターは、次のように損傷変数進展方程式に(不安定性変数進展方程式が定義されている場合は、この方程式にも)導入されます:(4) 注: IREG = 1が使用されている場合、応力軸性が境界値SHRFより小さいか境界値BIAXFより大きければ、要素サイズスケーリングはオフにすることができます。 - ひずみ速度依存性を破壊基準に適用することもできます。この依存性は、次の2つの方法で導入できます:
- FCT_SR ≠ 0の場合は、ひずみ速度依存係数
の表形式関数が使用されます。この場合、ひずみ速度に応じたひずみ速度係数(
で表される)の進展を表す関数を定義する必要があります。方程式で
と表わされる参照ひずみ速度SR_REF2と、スケールファクターを入力することもできます。表形式のひずみ速度依存性を使用している場合、損傷変数の計算(および、不安定性変数進展方程式が定義されている場合は、この方程式)は次のようになります:
(5) -
の場合は、Johnson-Cookひずみ速度依存性が使用され、SR_REF2は参照ひずみ速度
になります。この場合、破壊値における塑性ひずみは、ひずみ速度依存係数によって次のように乗算されます:
(6) ここで、- 非粘性極限ひずみ速度。
- ひずみ速度依存パラメータ。
- Macaulayの括弧(正の値のみが考慮されます)。
/FAIL/TAB2基準と組み合わせたJohnson-Cook材料則を使用している場合は、構成則に使用されるJohnson-Cookパラメータは、破壊基準の場合と同じではない可能性があります。IREG = 1の場合は、上記の方程式で使用されている参照ひずみ速度は、要素サイズスケーリングで使用されているものとは異なります。
重要: 破壊基準に適用されるひずみ速度依存性は、ひずみ速度に依存する材料則のみで使用できます。構成則に使用されるひずみ速度(全ひずみ速度、偏差ひずみ速度、または塑性ひずみ速度)は、破壊基準に使用されるのと同じものになります。
- FCT_SR ≠ 0の場合は、ひずみ速度依存係数
の表形式関数が使用されます。この場合、ひずみ速度に応じたひずみ速度係数(
で表される)の進展を表す関数を定義する必要があります。方程式で
と表わされる参照ひずみ速度SR_REF2と、スケールファクターを入力することもできます。表形式のひずみ速度依存性を使用している場合、損傷変数の計算(および、不安定性変数進展方程式が定義されている場合は、この方程式)は次のようになります:
- 応力軟化は、指定した範囲の応力軸性に制限できます。そのためには、関数FCT_DLIMを使用して、応力軸性に応じて進展する損傷限界値(1未満。この場合、要素は耐荷力を失います)を定義できます。この関数がとる値は、0~1の間である必要があります。スケールファクターを使用して、関数値全体をすばやく増減させることができます。
- 非局所正則化が使用されている場合(/NONLOCAL/MAT)、非局所塑性ひずみを使用して、損傷進展が(不安定性変数が使用されている場合は、この変数も)計算されます。その場合、TAB_ELを通じて要素サイズスケーリングが定義されていたり、要素サイズに依存する指数パラメータ関数FCT_EXPが使用されていると、初期要素サイズの代わりに、最大非局所長さパラメータLE_MAXが使用されます。