ACU-T:5101 ファンコンポーネントのPQ法によるモデリング

前提条件

このシミュレーションでは、中間部に内蔵ファンを設けた管内部の流れの定常状態をシミュレーションする方法について説明します。このチュートリアルを開始する前に、入門チュートリアルであるACU-T:1000 ユーザーインターフェースをすでに完了している必要があります。また、HyperMesh CFDAcuSolveの基本を理解しているものとします。このシミュレーションを実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperMesh CFDおよびAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを開始するには、本チュートリアルで使用されるファイルを作業ディレクトリにコピーしてください。
注: このチュートリアルでは、ジオメトリのクリーンアップやメッシュの設定に関する手順は説明していません。

問題の説明

このチュートリアルで解析する問題を以下の図に示します。この問題には、回転速度が377rad/sec(約3600RPM)、肉厚が0.06m、先端半径が0.11mの内蔵ファンがあります。入口での体積流量は0.322675m3/sec(約1212.3m3/hr)です。この問題を定常状態の実行としてシミュレーションし、ファン領域全体の圧力上昇を計算します。



図 1.

HyperMesh CFDの起動とHyperMeshデータベースのオープン

  1. WindowsのスタートメニューからStart > Altair <version> > HyperMesh CFDをクリックしてHyperMesh CFDを起動します。
  2. ホームツールのファイルツールグループからOpen Modelツールをクリックします。


    図 2.
    Open Fileダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルのACU-T5101_PQ_FanComponent.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
  5. 名前をPQ_Fanとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてPQ_Fanと入力するか、都合のいい名前を選択して入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

形状の検証

Validateツールは、モデル全体をスキャンし、サーフェスおよびソリッド上でチェックを実行して、形状に不具合(フリーエッジ、閉じたシェル、交差、重複、スライバーなど)があればフラグ付けします。

シミュレーションの物理パートに集中するために、このチュートリアルの入力ファイルにはすでに検証済みの形状が含まれています。形状リボンのValidateアイコンの左上隅に青色のチェックマークが表示されていることを確認します。これは、形状が有効で、フロー設定に進めることを示しています。


図 3.

流れのセットアップ

一般的なシミュレーションパラメータの設定

  1. 流れリボンから Physicsツールをクリックします。


    図 4.
    Setupダイアログが開きます。
  2. Physics modelsの設定で
    1. Time marchingがSteadyに設定されていることを確認します。
    2. Turbulence modelにSpalart-Allmarasを選択します。


    図 5.
  3. Solver controls設定をクリックし、下図のとおりにパラメータが設定されていることを確認します。


    図 6.
  4. ダイアログを閉じてモデルを保存します。

材料プロパティの割り当て

  1. 流れリボンから 材料ツールをクリックします。


    図 7.
  2. 3つのボリュームすべてにAirの材料素材が割り当てられていることを確認してください。
  3. ガイドバーをクリックしてツールを終了します。

ファンコンポーネントの定義

  1. 流れリボンで、Domainツールセットの横の矢印をクリックし、Fan Componentを選択します。


    図 8.
  2. 中央のソリッドをファンコンポーネントボリュームとして選択します。


    図 9.
  3. ガイドバーで、Surfacesをクリックして、下に示すフェイスをファンコンポーネントの入口として選択します。


    図 10.
  4. View Controlsツールバーで、形状の可視化モードをShaded GeometryからTransparent Geometryに変更します。
    これにより、次の手順で軸方向ベクトルを表示できるようになります。


    図 11.
  5. ガイドバーAxisをクリックします。
    モデリングウィンドウに、-X方向を向いた軸が表示されます。
  6. マクロダイアログをクリックして、軸ベクトルを+X方向に反転させます。


    図 12.
  7. Thickness (m)に0.06と入力します。


    図 13.
  8. P-Q Curve Typeの横のをクリックして、Profile Editorを開きます。
  9. をクリックして、fanPQcurve.csvを保存した場所に移動し、このファイルを開きます。


    図 14.
    注: 体積流量(Q)と圧力上昇(P)の単位は、それぞれm3/secとPaです。
  10. ガイドバーで、をクリックしてコマンドを実行し、ツールを終了します。
  11. モデルを保存します。

流れ境界条件の定義

  1. 流れリボンのProfiledツールグループから、Volumetric Flow Rateツールをクリックします。


    図 15.
  2. 以下に示す入口のサーフェスをクリックします。


    図 16.
  3. マクロダイアログでvolumetric flow rate (m3/sec)に0.322675を入力します。


    図 17.
  4. ガイドバーで、をクリックしてコマンドを実行し、ツールを終了します。
  5. Outletツールをクリックします。


    図 18.
  6. 下図でハイライトされている面を選択し、ガイドバーをクリックします。


    図 19.

メッシュの生成

ソルバーの設定に焦点を当てるために、ここでは、すでに定義されているメッシュの設定を使用します。
  1. メッシュリボンから Volumeツールをクリックします。


    図 20.
  2. Meshing Operationsダイアログで、Average element sizeを0.01に、Mesh growth rateを1.1に設定します(まだ設定されていない場合)。


    図 21.
  3. Meshをクリックします。
    Run Statusダイアログが開きます。解析が実行すると、ステータスが更新され、ダイアログが閉じます。
    ヒント: メッシュジョブを右クリックし、View log fileを選択してメッシングプロセスの概要を表示します。
  4. モデルを保存します。

サーフェスモニターの定義とAcuSolveの実行

  1. エンティティセレクターSolidsに設定します。


    図 22.
  2. 以下でマークしたファンコンポーネントのダクトを選択し、これを前後のダクトから隔離して表示します。


    図 23.
  3. 右クリックしてコンテキストメニューからIsolateを選択するか、Iを押します。
    ファンコンポーネントのソリッドがモデリングウィンドウに表示されます。


    図 24.
  4. ソリューションリボンから サーフェスツールをクリックします。


    図 25.
  5. ファンの前面を選択し、下図に示すように矢印がファンコンポーネントの方に向いていることを確認します。


    図 26.
  6. ガイドバーをクリックすると、コマンドを実行し、ツール内に留まります。
  7. 凡例で、surface_outputの名前をFAN_inletに変更します。
  8. ファンコンポーネントを回転させ、後面を選択します。


    図 27.
  9. をクリックし、凡例でsurface_outputの名前をFAN_outletに変更して、をクリックしてツールを終了します。
  10. ソリューションリボンから 実行ツールをクリックします。


    図 28.
    Launch AcuSolveダイアログが開きます。
  11. Parallel processingオプションをIntel MPIに設定します。
  12. オプション: プロセッサーの数を、環境に応じて4または8に設定します。
  13. 他のオプションはデフォルト設定のままにし、RunをクリックしてAcuSolveを起動します。


    図 29.

Plotツールでのポスト処理

  1. SolutionリボンでPlotツールをクリックします。


    図 30.


    図 31.
  2. をクリックして、新しいプロットを作成します。
  3. DataツリーでIntegrated Surface Output > Pressureを展開し、pressureを選択します。
  4. PartsでFan_inletFan_oultetを選択し、入口と出口での圧力を表示します。


    図 32.
  5. ModelパネルでUser Definedを右クリックし、ユーザー定義関数を作成します。
  6. DataツリーでIntegrated Surface Output > Pressureを展開し、pressureを選択します。
  7. Name欄にdPと入力します。
  8. Value欄にvalue=と入力します。
  9. PartsでFAN outletを選択し、Insert Fieldをクリックして以下のように値の一部として欄を挿入します。


    図 33.
  10. ユーザー定義関数値の最後に-と入力します。
  11. PartsでFAN inletを選択し、Insert Fieldをクリックして値の一部として欄を挿入します。
  12. をクリックし、ユーザー定義関数を追加します。


    図 34.
  13. x axisをクリックし、Time Stepsに切り替えます。


    図 35.

    上の図から、圧力が6回目の反復あたりで安定し、その後は、0.322675m3/secの体積流量に対して、FAN_inletとFAN_outletの間の圧力差が423.97Paに維持されることが確認できます。これは424.9Paの基準圧力増加とほぼ同じです。

要約

このチュートリアルでは、HyperMesh CFDを使用して、PQファンコンポーネントを扱うシミュレーションを設定し、解析する方法を知ることができました。形状をインポートして、シミュレーションパラメータ、ファンコンポーネント、流れ境界条件を定義しました。解が計算された後に、HM-CFD Plotツールでファンの入口と出口の圧力をプロットしました。