Parameters: Static Solver
Command Element静解析および擬似静解析の解析制御パラメータを定義します。このような解析で、これらのパラメータは解析の精度および解析に使用される方法を制御します。
フォーマット
<Param_Static
{
method = "MKEAM"
[ max_ke_tol = "real" ]
[ max_dq_tol = "real" ]
[ max_num_iter = "integer" ]
|
method = { "FIM_S" | "FIM_D" }
[ max_error = "real" ]
[ max_imbalance = "real" ]
[ max_num_iter = "integer" ]
[ stability = "real" ]
[ compliance_delta = "real" ]
}
/>
属性
- method
- 静的または擬似静的シミュレーションに使用されるアルゴリズムの選択肢を指定します。
Maximum Kinetic Energy Attrition手法("MKEAM")の場合、関連するパラメータは以下のとおりです:
- max_ke_tol
- "MKEAM"が選択された場合にのみ適用できます。静的平衡点におけるシステムの最大許容残留運動エネルギーを指定します。これは小さい値にする必要があります。max_ke_tolのデフォルト値は10E-5エネルギー単位です。
- max_dq_tol
- "MKEAM"が選択された場合にのみ適用できます。静的平衡点におけるシステム状態の変化量の上限を指定します。状態の最大相対変化量がこの値より小さい場合、反復計算は収束したと見なされます。max_dq_tolのデフォルト値は10e-3です。
- max_num_iter
- 許容される最大の反復計算回数を指定します。この回数に達するとシミュレーションは停止します。この時点でmax_ke_tolとmax_dq_tolが満たされていない場合、平衡の反復計算は失敗したと見なす必要があります。max_num_iterのデフォルト値は50です。
Force Imbalance手法の場合、関連するパラメータは以下のとおりです:
- max_error
- "FIM_S"または"FIM_D"が選択された場合にのみ適用できます。これは、静的平衡点におけるシステム方程式の残差の変化量の上限を指定します。運動方程式における最大残差がこの値より小さい場合、反復計算は収束したと見なされます。max_errorのデフォルト値は10E-4です。
- max_imbalance
- "FIM_S"または"FIM_D"が選択された場合にのみ適用できます。解析ポイントで許容される運動方程式における最大の力の不均衡量を指定します。これは小さい値にする必要があります。max_imbalanceのデフォルト値は10E-4力単位です。
- max_num_iter
- 許容される最大の反復計算回数。この回数に達するとシミュレーションは停止します。
- stability
- "FIM_S"または"FIM_D"が選択された場合にのみ適用できます。非正則でないことを保証するためにヤコビアンに追加する質量マトリクスの割合を指定します(コメントセクションのニュートン-ラプソン法の説明をご参照ください)。ヤコビアンマトリクスが非正則になる可能性があるのは、システムに中立平衡解があり、初期推測がこの解に近い場合です。これを回避するには、ヤコビアンを正則にするため、質量マトリクス(正則であることがわかっている)の一部をヤコビアンに追加します。stabilityの値は解析の精度に影響を与えませんが、ニュートン-ラプソン反復計算の収束速度を低下させる可能性があります。stabilityは小さい値にする必要があります。stabilityのデフォルト値は1E-10です。注: stabilityで指定された値の平方根が質量マトリクスに乗算されてから、ヤコビアンに追加されることで、ヤコビアンが正則になります。
- compliance_delta
- "FIM_S"または"FIM_D"が選択された場合にのみ適用できます。コンプライアンスマトリクスの計算時に使用されるデルタ(デフォルト = 0.001)。
例
<Param_Static
method = "MKEAM"
max_ke_tol = "1.000E-05"
max_dq_tol = "0.001"
max_num_iter = "100"
/>
<Param_Static
method = "FIM_S"
max_error = "1.000E-04"
max_imbalance = "1.000E-04"
max_num_iter = "50"
/>
コメント
- 擬似静的シミュレーションでは、Force Imbalance法のみがサポートされます。
- Force Imbalance法では、すべてのモデリング要素がサポートされているわけではありません。要素がサポートされていない場合、ソルバーには警告が表示されます。
- 滑らかではない非線形システムの静的釣り合い位置を求めることは困難な場合もあります。このような場合、すべてのモデルに対してデフォルトのパラメータがうまく機能するわけではないことがわかるかもしれません。ここでは、“Force Imbalance Method”を使用した適切な静的解の求め方についてのヒントを示します。
- システムが静的釣り合い位置に近いコンフィギュレーションで開始されることを確認します。
- 静的平衡反復計算のアニメーションを参照すると、アルゴリズムが何をしようとしているのかがわかります。アルゴリズムの挙動についての洞察を得るには、視覚的な調査が極めて重要です。
- 最初にmax_errorとmax_imbalanceを緩く定義してから、これらを反復的に狭めることで、いくつかの静的反復計算を行って最終解を求めることが有益な場合もあります。
- できれば滑らかではない力を避けてください。ニュートン-ラプソンでは、方程式は滑らかな偏導関数を持つものと想定します。システムに作用する力が滑らかではない場合、ニュートン-ラプソンで解を得るのは困難になります。
- 多くのシステムには、中立平衡解があります。中立平衡の例として、次のようなものがあります:
- テーブル上の球状のボール。
- 平坦な道路上に停止している自動車。
- 擬似静解析に使用される場合、FIM_Sは、静的シミュレーションのシーケンスを含みます。一方、FIM_Dの手法は、DAE積分器DASPKを使用して、擬似静的シミュレーションを実行します。したがって、FIM_Dは、Param_Static要素で指定されたパラメータに加え、Parameters: Transient Solver要素で指定されたDSTIFFパラメータを使用して、積分プロセス(特に、誤差トレランスを設定するdae_constr_tol)を制御します。FIM_Dは常にI3 DAE定式化を使用します。
- FIM_Dは、擬似静解析の最初と最後でFIM_Sを使用します。FIM_Sは、積分器で障害が発生した場合にも使用されます。このため、FIM_Dの誤差トレランス設定は、最初と最後のステップを除き、Parameters: Transient Solverのdae_constr_tolとなり、最初と最後については、FIM_SのParam_Staticの誤差トレランスを使用します。