放射音出力解析

放射音は、構造表面上の節点や外部音場内の節点において出力することができます。節点は、放射音、音響パワー、および音響インテンシティを記録するマイクロフォンを表すために使用されます。

放射音の出力要求のためのガイドライン

以下の手順は、放射音出力を要求するためのガイドラインです。

  1. 音場で音響レベルを記録するマイクロフォンは、RADSNDMSETフィールド)バルクデータエントリにより節点のセットとして定義できます。
  2. PANELGTYPE=SOUND/Blank)は、放射音出力計算で考慮される音生成パネル(複数可)を定義するのに使用できます。
  3. RADSNDバルクデータエントリ内のPANEL継続行を使用すると、PANELG (TYPE=SOUND/Blank)により定義されたパネルのパネルIDをリストできます。これにより、RADSNDバルクデータエントリのMSETフィールド内にリストされたマイクロフォン(節点)での放射音出力を計算するために利用できる音生成パネルの定義が可能になります。
  4. 波数および複素粒子速度ベクトルを定義するために必要となる音速の値 c は, PARAM,SPLCにより入力されます。複素音響圧力および複素粒子速度ベクトルの計算で使用される、音響媒体の密度 e は、PARAM, SPLRHOにより定義されます。スケールファクター q は、音圧レベル計算でPARAM,SPLFACにより指定できます。
  5. 本解析ではさまざまな出力要求が用意されています。SINTENSは音響インテンシティーを、SPLは音圧を出力するのに使用できます。


    図 1. パネルからの放射音出力

放射音出力計算のセットアップのためのガイドは、前の項で説明されています。手順は、以下に示す各出力タイプの計算のための一連の式に基づいています。

放射音出力の解析的背景

音生成パネルから放射された音は離散点音源からの音生成に集約されます。パネル表面上の有限要素メッシュの節点は音源と見なされます。音響パワーおよび音響インテンシティは、音源節点およびマイクロフォン節点の両方で出力できます。

マイクロフォンの位置において

波数

ここで、
c
PARAM, SPLCによって定義されている音速
f
媒体内での音波の周波数

音源節点の速度流束

音源節点の速度流束は、節点の周囲の微小面積内のパネル材料が媒体内を移動する割合です。


図 2. 速度流束の定義
周波数ごとに、以下のように計算されます:(2) v f l u x = v s · δ A
ここで、
v s
音源節点の速度ベクトル
δ A
以下のように定義される音源節点に関連付けられている面積ベクトル:(3) δ A = A A ^ s
ここで、
A
音源節点に関連付けられている面積
A ^ s
音源節点でのパネル表面への単位面積ベクトル法線(図 2

複素音響圧力(SPLにより出力)

複素音響圧力は、音波により生じる環境大気圧からの偏差です。これは、 p j によって指定され、マイクロフォンの位置で、音響パネルのひとつの節点 j から生じる音圧偏差として周波数ごとに以下のように定義されます:(4) p j = f ρ q r j ( v f l u x ) j i e i k r j
SPLによって要求される全複素音圧は、次のとおりです:(5) p = j = 1 n p ( f ρ q r j ( v f l u x ) j i e i k r j )
ここで、
f
媒体内での音波の周波数
ρ
PARAM, SPLRHOによって定義されている音響媒体の密度
r j MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaamOCamaaBa aaleaacaWGQbaabeaaaaa@3808@
パネル上の音源節点 j からマイクロフォン位置節点までの距離(図 1
( v f l u x ) j
音源節点の速度流束
k
波数で定義される波数。
i
-1の平方根
n p
音源節点の数(図 1
q
パラメーターPARAM, SPLFACを使用して指定されるスケールファクターの値
デシベル単位での音圧レベル( S P L d B - これもSPLにより出力される)は、以下の式により計算できます:(6) S P L d B = 20.0 * log 10 ( | S P L | S P L R E F D B )
ここで、
S P L d B
音圧レベル(デシベル)
| S P L |
音響圧力の大きさ
S P L R E F D B
PARAM, SPLREFDBパラメータを用いて指定された参照音圧値

複素粒子速度ベクトル

複素粒子速度ベクトルは、媒体において、通過する波として測定される粒子の速度です。粒子速度は波自体の速度ではなく、正確には、波の通過によって平均位置を基準に振動する粒子の速度です。これは、音源節点 j 図 1)から生じ、マイクロフォンの位置で v j p によって指定され、周波数ごとに以下のように定義されます:(7) v j p = p j r ^ j ρ c ( 1 i k r j )
ここで、
p j
マイクロフォンの位置での音源節点 j からの複素音圧。
r ^ j
音源節点 j (図 1)からマイクロフォン節点までの単位ベクトル
ρ
PARAM, SPLRHOによって定義されている音響媒体の密度
c
PARAM, SPLCによって定義されている音速
k
Wave Numberで定義されている波数
r j
パネル上の音源節点 j からマイクロフォン節点までの距離(図 1
i
-1の平方根

総複素音響インテンシティ(SINTENSにより出力)

総複素音響インテンシティベクトルは、単位面積あたりの音響パワーです。音響インテンシティは、音圧と粒子速度ベクトルの積として定義できます。音源節点が複数ある場合は、マイクロフォンの位置での総音響インテンシティは、周波数ごとに以下のように算出されます:(8) i = 1 2 j = 1 n p Real ( p j ( v j p ) * )

ここで、 p j はマイクロフォンの位置での音源節点 j で生じる音による音響圧力、 ( v j p ) * v j p の複素共役であり、マイクロフォンの位置での音源節点 j から生じる音による複素粒子速度ベクトルです。

音源節点の位置

波数

図 3により、変位ベクトルのベクトル演算は以下のとおりです:(9) x s = x + x r

ここで、 x は、対象となる音源節点(1)から音源節点(2)へのベクトルです。

x r は次のように定義されます:(10) x r = 1 2 A π x ^ r

ここで、 A は音源節点に関連付けられている面積、 x ^ r は、音源節点に関連付けられている面積 A への単位法線です。

[音源節点での]複素音響圧力

複素音響圧力は、音波による環境大気圧からの偏差です。これは、 ( p j ) s を使って指定され、音源節点で周波数ごとに以下のように定義されます:(11) ( p s ) j = f ρ q ( r s ) j ( v f l u x ) j i e i k ( r s ) j
SPLによって出力要求される音源節点での総複素音響圧力:(12) p s = j = 1 n p 1 ( f ρ q ( r s ) j ( v f l u x ) j i e i k ( r s ) j )

ここで、

f は、媒体内での音波の周波数です。

ρ は、PARAM,SPLRHOによって定義されている音響媒体の密度です。

( r s ) j は、各グリッド j j =1から n p )の | x s | と等しく、これは、音源節点の位置においてで定義されています(図 3)。

( v f l u x ) j は、音源節点 j の速度流束です(図 3)。

k は、波数で定義されている波数です。

i は、-1の平方根です。

n p は音源節点の数です(図 2)。

q は、パラメーターPARAM, SPLFACを使用して指定されるスケールファクターの値です。