振動と音響のソリューション

音響性能解析

ノイズの少ない高品質なサウンドを実現するためのスピーカーの最適性能を解析するため、有限要素解析が実行されます。

ユースケース

だれでも、オーディオシステムには、その部屋を深い低音とクリアな高音で満たす、すばらしい、高品質な、大音量でもクリアなサウンドを求めます。サウンド品質は音量が大きくなったときに変化してはならず、振動や静的ヒスノイズがスピーカーから生じることは回避したいはずです。

モデルファイル

開始前に、この例で使用するファイルを作業ディレクトリにコピーしてください。

FEAモデルの概要

このモデルには、Z軸に沿って振動する(単位強制加振として適用される)スピーカー内部の音源プレート(緑色)が含まれます。音源プレートは、図 1で示されるように、音場の流体要素(前部、後部、上部)で覆われています。圧力(節点上で計算される)コンターについては、受音面要素が流体節点を含むPLOTEL要素で設定されています。これは、それらの要素上で音圧が捕捉されるためです。直接法による周波数応答解析が実行されます。


図 1. スピーカーの音響モデル

結果

受音面での音圧レベルは81dbで、これはこのスピーカーにとって大音量の状態と呼ぶことができます。


図 2. db単位での受音面の音圧レベル

振動音響解析

OptiStructでは、最高品質のサウンドを感じ取るためのスピーカー設計に、シミュレーション主導のアプローチを提供します。

昨今、スピーカーの業界では、スピーカー設計における非常に大きな前進がありました。スピーカーは小型化され、コンパクトで洗練されてきています。小型化するに従いで電子機器もコンパクト化され、このような小型デバイスの物理試験は非常に面倒で、手間がかかるものとなっています。たとえば、スピーカーで生じた振幅の大きい振動により、内部コンポーネントは互いにぶつかり、バズ音やラトル音を生じさせる傾向があります。2つの小さなワイヤが継続的にぶつかり合ったりこすれ合ったりした場合、スピーカー内のこのようなコンパクトな環境では問題が生じている場所自体を見つけるのが困難です。OptiStructでは、この問題を可視化し、診断するための優れたソリューションを提供します。OptiStructシミュレーションの結果を、最適な性能を得るためのスピーカー設計に使用できます。

OptiStructの振動と音響の機能は、次のようなさまざまな試験の実行に使用されます:


図 3. スピーカーモデル上で実行される解析タイプ


図 4. スピーカーモデル

ノーマルモード解析

ユースケース

図 5 に、スピーカーの全形状を示します。振動を生じさせる荷重がボイスコイルに適用されます。ボイスコイルを電流が通過し、磁場が生じます。この磁場が永久磁石の磁場に反応し、これによりボイスコイルが振動します。隔離膜がボイスコイルに接続され、これもボイスコイルの動きにより振動します。モデルの高周波感度を向上させるため、サスペンションにはひだが設けられています。


図 5. スピーカーの物理特性

モデルファイル

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FEAモデルの概要

スピーカーモデルは、4つのポイントですべての自由度が拘束されます(図 6)。モーダル解析の目的は、スピーカーの固有モード形状および周波数を測定することです。


図 6. モーダル解析 - モデルセットアップ

結果

2000Hzまでのモード形状が要求されます。スピーカーモデル内に含まれる最も小さなコンポーネント(現実の試験では困難なもの)でもモデル形状を可視化できます。


図 7. スピーカーの膜のモード形状


図 8. ケーブルのモード形状

周波数応答解析

単一の周波数で適用される正弦波荷重による、構造の定常状態応答を計算するために使用します。

ユースケース

アセンブリのさまざまな位置でのスピーカーの振動レベルを把握するため、スピーカーに対して周波数応答解析が実行されます。ターゲットを満たさない部分を特定し、その不具合の根本原因を診断して、ターゲットを達成するよう最適化することができます。したがって、周波数応答解析を使用することにより、過度な振動を捕え、スピーカー設計を最適化できます。OptiStructは、すべてのモーダル周波数応答サブケースのモード寄与度係数をチェックするオプション(PFMODE)を提供しています。これにより、ターゲットポイントの応答に向けてどの構造モードの寄与が最大になるかを確認できます。

モデルファイル

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FEAモデルの概要

上下のボイスコイルを加振し、膜を振動させます。アセンブリ内の特定の位置での応答を要求し、これらの応答ポイントでの振動がターゲット値を満たしているかどうかを確認します。また、PCBの応答のモード寄与度係数を求めるため、PCB上のポイントを要求します。


図 9. 2つのスピーカーの膜に適用される荷重
複数の応答ポイントが、PCB、スピーカーキャビネット、熱交換器、磁石、およびファンに配置されます。このプロセスでは主にPCBの応答に焦点を当てます。PCBの加速度を追跡して設計を監視し、PCBの加速度が50G未満に維持されるようにします。


図 10. 応答ポイントの位置

結果

アセンブリ内のさまざまな位置での振動レベルを調べますが、主にPCBの応答に焦点を当てます。PCBの応答ポイントの結果を図 11に示します。周波数と加速度の関係が3つすべての方向についてプロットされます。加速度値がターゲット値50Gを超える周波数を確認します。


図 11. X、Y、Z方向でのPCBの応答
PFMODE関数により、これらの違反しているターゲット値に寄与しているモード寄与度係数が示されます。


図 12. 2つの周波数で違反しているターゲット


図 13. Y方向の応答のモード寄与度係数

過渡解析

スピーカーアセンブリが時間依存の荷重を受けたときの動的応答を特定します。過渡解析の指針は、スピーカーの全体的な変位を追跡し、固定されたテーブルに対するスプリングの相対的な動きを確認することです。

ユースケース

ここでは、OptiStructのモーダル過渡解析が実行され、スプリング上で支持されたスピーカーアセンブリの振動が可視化されます。

モデルファイル

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FEAモデルの概要

キャビネットの底は4つのスプリングに取り付けられ、それらのスプリングは固定テーブル上に静止しています(図 14)。スピーカーの両方の膜に過渡荷重が適用されます。


図 14. スピーカーアセンブリへの荷重

結果



図 15. スプリング要素の変位

音響解析

無限および半無限領域の音響モデリングは、振動音響問題における放射音や外部騒音などの定量的な予測に欠かすことができません。音響問題の解析に使用されるさまざまな方法について説明します。

無限境界要素法を使用した外部音響: ユースケース

この方法では、構造メッシュの周りの滑らかな音響メッシュ(この場合は球)が関与します。音響メッシュ(音響球のサーフェス)の終端は無限境界要素となっています。

モデルファイル

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FEAモデルの概要

スピーカーアセンブリには、モーダル法による周波数解析で適用された荷重がかかります。境界条件もこのシナリオと同じです。ここでは、スピーカーアセンブリは音響要素と無限境界要素によって囲まれます(図 16)。音圧レベルを測定するためのマイクロフォンは、1mの位置にあります。


図 16. 無限境界要素を使用した音響メッシュ

結果

1m離れた位置のマイクロフォンでの音圧プロットを以下に示します:


図 17. 2つのマイクロフォンポイント(N515956とN515890)での音圧プロット

RADSND法を使用した外部音響

この方法では、節点を振動させ、それらの節点を離散音源とみなすことにより生成された放射音を測定します。

ユースケース

この方法では、構造の周りに音響メッシュを必要としません。したがって、計算が高速になりますが、得られる結果は正確ではなく、近似となります。

モデルファイル

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FEAモデルの概要

スピーカーアセンブリには、モーダル法による周波数解析で適用された荷重がかかります。境界条件もこのシナリオと同じです。音圧レベルを測定するためのマイクロフォンは、1mの位置にあります。

結果



図 18. マイクロフォンポイント(N515890)の音圧プロット

スピーカーモデルの性能

ここでは、自然環境内で人が受ける音圧レベルが測定されます。

ユースケース

居間でのスピーカーの配置を示します。ここで、居間内のさまざまな位置での音圧レベルを照会したり、感知する音圧レベルに対するスピーカーアセンブリの向きの変化の影響を確認することもできます。ここでは、現実の設定とラボ設定(物理試験)でのスピーカーの試験を行う(マイクロフォンは事前に定義したポイントにのみ配置されます)ため、OptiStructがいかに効果的なプラットフォームを提供しているかを示します。

モデルファイル

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モデル概要

スピーカーアセンブリは4m x 6mのサイズの標準的な居間に設定されます。仮想マイクロフォンが等しい間隔で配置されます(マイクロフォンは居間の任意の位置に配置できます)。


図 19. 居間における15のスピーカーのアセンブリのセットアップ
スピーカーアセンブリは次の2つのシナリオで試験されます:
  1. スピーカーが聴き手と直接面している(角度 = 0°)場合の音圧レベル


    図 20. 0°でのスピーカーアセンブリ
  2. スピーカーが回転している(角度 = 30°)場合の音圧レベル


    図 21. 30°でのスピーカーアセンブリ

結果



図 22. 音圧レベルの変化. 壁を越えた音圧レベルおよび居間の別のセクションでの音圧レベル


図 23. スピーカーの向きが0°の場合の音圧レベルの比較. 居間内のさまざまな位置での設定


図 24. スピーカーの向きが30°の場合の音圧レベルの比較. 居間内のさまざまな位置での設定

ランダム振動解析

この解析では、構造的健全性を判定します。

PCBは、ほとんどの電子製品で使用され、機械的に支持し、チップ、コンデンサー、抵抗器、その他の電子コンポーネントをはんだ接合により電気的に接続します。これらの製品の多くは振動荷重を含む荷重環境に置かれるため、このような荷重によるPCBおよびそのコンポーネントの構造的健全性を判定することは非常に重要です。この判定は、多くの場合、ランダム振動有限要素解析を使用して行われます。PCBに搭載されたコンポーネントの、ランダム振動環境による基本的な破壊モードは、以下の結果です。
  • 高い加速度レベル
  • 高い応力レベル
  • 大きな変位の振幅

モデルファイル

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周波数応答解析ユースケース

PCBのクリティカルな領域を解析するには、まず、PCBの固有振動数を計算するためのノーマルモード解析が実行されます。

周波数応答解析モデルの概要

これらの周波数は、周波数応答解析の入力として作成され、1Gの加速度の励振がPCBに与えられます(図 25)。


図 25. 周波数応答解析

周波数応答解析の結果



図 26. 最大フォンミーゼス応力

ランダム応答解析ユースケース

ランダム応答解析は、FRFの結果を使用し、振幅vs周波数(最大10000Hz)のパワースペクトル密度グラフを追加して実行されます。

ランダム応答解析の結果



図 27. RMSひずみ