非線形構造のソリューション

携帯電話の落下シミュレーション

ここでは、携帯電話を誤って落とした場合のシミュレーションを行います。

ユースケース

ここでは、携帯電話が高所から5ms-1の速度で背面から落下した場合について考えます。

携帯電話を誤って床に落としたことがどれだけあるでしょうか。

携帯電話の最も一般的な故障の仕方は、誤って落としたことによる衝撃です。そのため、メーカーは、耐衝撃性があり、特定の高さ(その高さから落下しても損傷なく、またはわずかな損傷のみで機能を継続できることが期待される)からの落下試験に耐えられる製品を開発することを目標としています。一般に、携帯電話は、12の荷重ケース(図 1)を使用した落下試験で解析が行われます。

FEAシミュレーションにより、設計者は、アセンブリ内でコンポーネントがどのように相互作用し、衝撃荷重の下で、破壊モードおよびメカニズムがどのように展開されるのかを把握することができます。このような携帯用製品では、適切な耐用年数を確保するために、衝撃強さについて把握することが重要な留意事項となります。製品が正しく機能し続け、強度と安全性の要件を満たしていることを保証するには、連続した複数回の落下を考慮する必要があります。一般に、電話機メーカーは、ハンドセットを数回地面に落とす落下試験を、絶え間なく、あるいは断続的に実施し、耐久性、電話機上に発生しうる亀裂、および電話機を落とした後でも機能するかどうかを評価します。


図 1. 解析方向

モデルファイル

開始前に、この例で使用するファイルを作業ディレクトリにコピーしてください。

FEAモデルの概要

ボタン、カメラ、プリント回路基板(PCB)、ガラス、タッチセンサー、バッテリーなど、さまざまなパートを考慮した、携帯電話の落下試験解析が実施されました。これらのパートに非線形接触および非線形材料が割り当てられました。

地面には固定の支持が適用され、携帯電話が落とされました。このシナリオは、OptiStructで陽解法解析を使用し、1ミリ秒間解析されます。


図 2. 背面落下試験

結果



図 3. 変位のコンター

3点曲げシミュレーション

電話機の中央で電話機の背面カバーに力が加えられた場合の力vs曲げ角度が解析されます。

この解析では、に示すように、電話機が固定された2つの円筒の上に保持され、力が電話機中央に加えられます。試験は通常電話機の前側と後側の両方で実施されます。

ユースケース

携帯電話は一般に、軽量構造を実現し、製造を容易にするため、アルミニウムでできています。ますますスリムになり、軽量化されており、その構造特性は低減 / 軽減されています。アルミニウムなど、一般的に構造に使用される金属は、元来柔軟性があるため、曲げの問題が頻繁に発生します。

携帯電話を後ろポケットに入れたまま座ると、携帯電話の曲げが生じる可能性が高くなります。この曲げの現象は、3点曲げ試験で測定できます。この試験は、人が後ポケットをおよそ300~400Nで押したときに生じる垂直力を使用して実行されます。

モデルファイル

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FEAモデルの概要

電話機が固定された2つの円筒の上に保持され(図 4)、力が電話機中央に加えられます。下の2つの円筒は固定され、押し付けている円筒には8mmの強制変位が割り当てられます。剛体円筒と電話機との接触が割り当てられます。


図 4. FEAモデル

結果



図 5. 変位および応力のコンタープロット

携帯電話に対するボールの衝撃の解析

ボールが携帯電話の前面に落とされたときの携帯電話前面の応力とひずみを解析します。

ユースケース

テーブルの上に置かれた携帯電話に、誤って鍵の束やバッグを落とした場合、その電話はどうなるでしょうか。画面が割れたり、携帯電話に傷がつくこともあります。ボールの衝撃試験は、携帯電話の硬度、耐擦傷性、および耐貫通性を確認するために実施されます。

モデルファイル

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FEAモデルの概要

携帯電話は地面に置かれ、剛体ボールが2ms-1の速度でその電話の表面に落とされます。地面は固定の支持により拘束され、問題は陽解法解析を使用し、終了時間を1ミリ秒に設定して解析されます。


図 6. FEAモデル

結果

ボールは2ms-1の速度で携帯電話に衝突します。携帯電話の画面とフロントカバーの変位と応力のコンタープロットを図 7に示します。


図 7. 応力プロットとエネルギープロット

折り畳み携帯電話の解析

携帯電話の曲げ性を解析します。この折り畳み携帯電話の試験で3点曲げ解析が実施され、携帯電話上の応力とひずみが解析されます。

ユースケース

ノートパソコン、コンピューター、テレビ、携帯電話のどれであっても、より大きな画面のトレンドは、持ち運び可能で、折り畳むことにより6または5.5インチデバイスになることです。ライフサイクルを通して携帯電話の耐久性を保証するには、各パートの曲げ性を確認する必要があります。ガラス、小型バッテリー、および画面が主に気になる点で、折り畳むときにこれらが壊れてはいけません。


図 8. 折り畳み携帯電話. Motorola Razr V4

モデルファイル

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FEAモデルの概要

解析は2ステップで実行されます。
  1. 押し付けている円筒に8mmの強制変位が適用され、下の円筒を固定された状態に保ちます。
  2. 上向きに5mmの強制変位が適用され、折り畳み解析の結果が得られます。
この折り畳み携帯電話の解析は、携帯電話の3点曲げとは異なります。3点曲げ解析での固定円筒とは異なり、この解析では下の円筒が垂直に上向きに強制移動されるためです。


図 9. FEAモデル


図 10. 変形構造

結果



図 11. 折り畳み携帯電話の両側の変位結果

洗濯機シミュレーション: ねじりおよび圧力

ここでは、高速で回転し、荷重の均衡がまったくとれていない、最も危険な状況で、洗濯機のシミュレーションを行います。ドラムにモデルの回転が与えられ、圧力が適用されます。応力、ひずみ、および方向別の変位がここで解析されます。

ユースケース

洗濯機は世界中のほぼすべての家庭で広く使用されています。これらは、洗い / 攪拌サイクル、すすぎサイクル、および脱水サイクルを経ることによって、衣類の洗濯を容易にします。洗濯機の性能は、ドラム内での衣類の回転(この際、衣類は水および洗剤やせっけんと混ざり合います)に基づきます。衣類が水に浸されたとき、その荷重は回転時の重量によりドラム内で大きな反力を生む可能性があります。この状況により、ドラムの機械特性を正確に計算することが非常に重要になります。

多くの洗濯機メーカーは、洗濯機のさまざまな用途について、水温、適用される圧力、許容される荷重のサイズなど、さまざまな試験を行っています。

モデルファイル

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FEAモデルの概要

衣類からの荷重と洗いサイクルの回転を再現するために、ドラムに回転変位が適用され、垂直荷重が適用されます。ドラムの下部はスプリング要素を介して地面に固定され、スプリング要素によりこの円筒が垂直方向に動くことができます。ドラムが回転軸の周りを回転できるように、ドラムとジョイントの間に回転ジョイントが割り当てられます(図 12)。非線形静的構造解析が実行され、洗濯機の強度が評価されます。


図 12. FEAモデル

結果



図 13. 変位プロット. 側面図および上面図

バッテリーパックの曲げシミュレーション

バッテリーパックの構造性能は、3点曲げ試験を使用して評価されます。

ユースケース

バッテリーパックは、必要な電力を電子デバイスに供給するため、直列または並列に配置されたバッテリーセットです。このようなバッテリーパックの用途は、電話機から芝刈り機、自動車、農業用途まで、広範囲にわたります。バッテリーパック内のセルは、バッテリーセルコンポーネントのより優れた特性を得るための要件を満たすため、さまざまな重要な試験に合格する必要のあるエネルギー源の最も小さなエンティティです。自動車のバッテリーパックは、事故やオーバーヒートにより曲がる可能性があり、これは火事につながる場合があるため非常に危険です。リチウムイオンバッテリーパックは曲げたりねじったりすることができないため、このようなバッテリーの曲げが繰り返されると、充放電サイクルやバッテリーの寿命を悪化させる場合があります。

モデルファイル

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FEAモデルの概要

バッテリーパックのセットはカバーとともにモデル化されます。カバーとバッテリー間に摩擦接触が割り当てられます。押し付けている円筒は、バッテリーパックを4mmの強制変位を伴って押し付けることができ、バッテリーパックは固定円筒上に静止します。


図 14. FEAモデル

結果



図 15. 変位および応力のプロット