多孔質弾性材料(Biot理論)

多孔質弾性材料は、多孔質体の間隙に流体が存在する、流体-構造連成システムをモデル化するために使用できます。

孔内に存在する流体の量、流体のタイプ、間隙の流体の圧力、および多孔質材料の構造に応じて、多孔質材料の機械的応答は変化します。OptiStructでは、多孔質弾性のBiot理論に基づく多孔質弾性材料をモデル化でき、関連アプリケーションで使用することができます。

利用目的

間隙に流体が含まれている多孔質材料は、構造の機械的応答への流体の影響を考慮せずに正確にモデル化することはできません。多孔質弾性材料モデルは、さまざまな用途で実際に使用されます。たとえば、自動車の内装品は多孔質であり、キャビンの空洞は空気で満たされています。流体(空気)がこれらの内装部品の間隙に含まれることによりシステムの動的挙動が変化します。動的挙動におけるこの変化は、自動車の振動騒音(NVH)の検討時に正確に考慮される必要があります。


図 1. 多孔質材料と多孔質以外の材料との間の機械的応答の違い

考えられる応用として、OptiStructでは、Biotによる多孔質弾性材料の実装を、より正確な解を生成するために周波数応答解析において自動車の内装部品をモデル化するために使用できます。本機能により、内装品用材料、カーペット、発泡剤、およびその他の多孔質材料をモデル化できます。

実装

OptiStructにおける多孔質弾性材料は、Biotの多孔質弾性理論を使用して実装されています。それらは、CTETRACHEXAまたはCPENTAソリッド要素を使用してモデル化できます。Biotのu-p(変位-圧力)定式化が使用され、各節点は3つの変位自由度(DOF)および1つの圧力成分で構成されます。必要な材料特性は、リファレンスガイド内のMATPE1エントリで詳しく説明されています。MATPE1エントリは、PSOLIDプロパティでFCTN=POROを使用して選択できます。

サポートされるソリューションシーケンス

Biot多孔質弾性材料は周波数依存となります。周波数依存の要素マトリックスは、要素ごとに各周波数で計算されます。直接法による周波数応答解析とモーダル法による周波数応答解析がサポートされています。周波数依存のマトリックスは、モーダル法周波数応答解析ではモード空間へ縮退されます。Biot材料のパネル寄与計算は、他のパネルの寄与計算と同様に可能です。パネル寄与の詳細な評価のために、流体-構造の節点寄与も出力できます。
注:
  1. 音響空間(FLUID)と内装部品(BIOT)の連成:
    1. 音響空間をBIOT材料の流体自由度に結合するには、節点同士のマッチングまたは多点拘束(MPC)が必要です。
    2. ACMODLエントリは、BIOT材料の流体自由度と構造自由度の連成に使用されます。
    3. 音響空間をBIOT材料に連成するために節点同士のマッチングを使用する場合は、そのBIOT材料を共有する流体上の節点ではCDフィールドを-1に設定しないでください。ただし、多点拘束(MPC)を使用する場合は、CDフィールドを-1に設定する必要があります。
    4. MPCが使用される際、MPCの従属節点はBIOT材料に属していなくてはなりません。
  2. 内装部品(BIOT)とボディ構造との連成:
    1. 変位の連続性を確保するために重複節点(節点同士のマッチング)を使用できます。ただし、内装部品とボディ構造の間の節点が共有されない場合は、FREEZEオプションを用いたTIEおよびCONTACTエントリ、剛体、MPC、またはその他の構造要素を使用して連続性を確保できます。

制限事項

内装部品(Biot多孔質弾性材料)の圧力出力は、現在はサポートされていません。ただし、最も近い音響領域の圧力は利用可能です。