理論的な速度上昇

マルチドメイン法のこの効率は、速度上昇係数によって測定できます。それは、元の計算の経過時間とマルチドメイン法で取得した経過時間との比率です。

メインプログラム(RAD2RAD)のCPUコスト、およびコミュニケーションに費やした時間を無視でき、また、各ドメインのサイクルあたりの時間ステップおよびコストが計算中に一定である場合、マルチドメインの使用が妥当かどうかを判断するために速度上昇の予測を計算できます。

AとBという2つのドメインがあり、Aは時間ステップが最も小さいドメインである場合、速度上昇は、次の式を使用して得られます。 (1)
Speedup=TMONOTMULTI=(NeACA+NeBCB)NcANeACNAcA+NeBCBNcB
ここで、
Nc
ドメイン毎のサイクルの数
Ne
ドメイン毎の要素の数
C
各ドメインの要素あたりおよびサイクルあたりの平均コスト
関係式は次のように書き直すことができ: (2)
Speedup=ξ+(1ξ)ψξγ+(1ξγ)ψ
ここで、
ξ=CACB
ドメイン間のサイクルあたりの平均コストの比
γ=NcANcB=dtBdtA
時間ステップ比
ψ=NeANeA+NeB
時間ステップが最も小さいドメインにおける要素のパーセンテージ
サイクルあたりの平均コストがこれら2つのドメインで同一の場合、式は次のようになります: (3)
Speedup=1γ+(1γ)ψ

したがって、 γ および ψ が0に近い場合、つまりドメインAがBに比べて小さく、時間ステップ比が大きい場合、速度上昇は非常に大きくなります。これは、図 2で示されている内容です。