Radioss では2種類のビーム要素が利用可能で、1次元構造とフレームに用いられます。これは軸力、せん断力、曲げ、およびねじりモーメントを伝達します(反対にトラスは軸力のみ支持します)。
古典的ビーム(/PROP/BEAM )
デフォルトの定式化はTimoshenko定式化に基づいているため、横せん断ひずみが考慮されます。この定式化は横せん断エネルギーを無視する通常のEuler-Bernoulli定式化に縮退させることができます。
節点1と2が局所x-軸の定義に用いられます。局所y-軸はx-軸に直角で、t=0における節点1、2、3の平面内に置かれます。次に、平均のx-軸周りの回転を考慮して、それぞれのサイクルで位置は修正されます。局所 z-軸は右手則を用いて得られます。
図 1. ビーム要素と局所座標系
Radioss ではビーム形状はその断面面積と3つの断面積慣性モーメントで定義されます。局所 Y軸と Z軸に関する面積慣性モーメントは曲げのためで、次の式を用いて計算できます:
(1)
I y = ∬ A z 2 d y d z
(2)
I z = ∬ A y 2 d y d z
局所X軸に関する面積慣性モーメントはねじりのためです。これは単純に、
I y
と
I z
の和として得ることができます。ねじりモデルは中実断面で反りが無視できる場合のみ有効です。
ビーム要素の最小時間ステップは次の式を用いて決められます:
(3)
Δ t = a L c
ここで、
a = 1 2 min ( √ min ( 4 , 1 + b 12 ) ⋅ F 1 , √ b 3 ⋅ F 2 )
d s = d ⋅ max ( 1 , √ 12 b ⋅ √ 1 + 12 E 5 6 G b ( 1 − I s h e a r ) )
ビーム断面を定義するユーザー入力パラメータは3つの面積慣性モーメントと断面積です。安定性と精度のために、次の制限を尊重することが推奨されます:
(4)
L > √ A
0.01 A 2 < I y < 100 A 2
0.01 A 2 < I z < 100 A 2
0.1 ( I y + I z ) < I x < 10 ( I y + I z )
ビーム要素には材料則1と2のみ利用可能です。材料則2では、内力の関数にグローバル塑性モデルが使用されます。主要な仮定は、ビーム断面が中実で矩形であることです。断面と断面のモーメントの間の最適な関係は:
このモデルは円形または楕円断面に対しても良い結果を与えます。薄肉断面に対しては、グローバル塑性モデルは誤った結果を与えるかもしれません。フレーム構造の1つのラインに対し1つのビーム要素を用いることは推奨しません。質量は節点に集中されます。そのため、正しい質量の分布を得るためには、細かいメッシュが必要です。これは特に動的効果が重要な場合には顕著になります。
加えて、 Radioss ビーム要素では、モーメントがビームの長さ方向に変化しません。モーメントは一定であるという仮定の下でビームの中心で評価されます。応力も同様です。
その結果として、固定された単純梁では、モーメントがビームのつけ根ではなく中央で計算されるために、ビームに若干高い力を生みます。
注: ビーム要素の出力は局所座標系で表現されます。いくつかの結果において、それが平均X 回転の考慮によって更新されるために、混乱を生じるかもしれません。例えば、ビームの1節点が完全に固定され、速度V が他節点に与えられている場合、ビームはV の速度で回転しますが、局所座標系は速度V/2 で回転します。これは、特にせん断力や曲げモーメントに間違った解釈を引き起こすかもしれません。
新しいビーム (/PROP/INT_BEAM )
要素の断面は100 までの積分点を用いて定義されます(
図 2 )。要素の断面特性、面積慣性モーメントと面積は
Radioss によって次のように計算されます:
(5)
A = ∑ A i = ∑ ( d y i d z i )
(6)
I z = ∑ A i ( y i 2 + 1 12 d y i 2 )
(7)
I y = ∑ A i ( z i 2 + 1 12 d z i 2 )
ビームモデルは横せん断ひずみを考慮してねじりの反りはないTimoshenko理論に基づいています。深いビーム(短いビーム)の場合に用いることができます。断面積に複数の積分点を用いることで、それぞれの積分点で von Mises基準での弾塑性モデルを得ることを可能にし、古典的なビーム要素と異なり、断面は部分的に塑性化することができます(TYPE3)。材料則1と2に加えて、材料則36も用いることができます。しかしながら、要素は長さ方向には1積分点のみ持つため、フレーム構造の1つの線に1要素を用いることは、深さ方向だけでなく長さ方向の塑性の進展を考慮するために、推奨されません。
図 2. 積分ビームの断面定義