運動条件の非適合

節点の拘束は、節点自由度に作用する運動条件に基づいているため、2つの節点拘束を同じ節点セットに適用することはできません。ただし、与えられる運動条件が完全に直交する場合(例:X方向における境界条件とY方向における剛体リンクなど)はこの限りではありません。

Radioss Starterは、同じ節点セットに2つの節点拘束が与えられた場合、毎回以下のワーニングを出します。
WARNING ID: 147
*** WARNING: INCOMPATIBLE KINEMATIC CONDITIONS
2 KINEMATIC CONDITIONS ON NODE xxxxxx,
IN DIRECTION TRANSLATION X, FOR: 
- Nodal constraint 1 (e.g. BOUNDARY CONDITION)
- Nodal constraint 2 (e.g. RIGID WALL)

運動条件の非適合に関する全てのワーニングに対し注意を払うことは非常に重要です。実際に非適合となる運動条件(例えば複数の剛体に属する節点)は、エネルギーの発生や局所的な不安定を引き起こす原因となる可能性があります。このような場合、結果の精度を大きく下げます。

運動条件が実際に非適合である際、Radioss Starterはチェックを行いません。したがって、ワーニングが出されてもそれらが完全に直交する場合には無視して構いません。 図 1 に2つのケースを示します。最初のケースは、節点が剛壁のセカンダリ節点で境界条件が直交しない方向にある場合です。剛壁が固定されている場合、非適合条件の可能性はありません(節点は剛壁には接触しないため)。移動剛壁の場合は、接触後の両方の条件を考慮することはできません。そのため、境界条件が与えられず、剛壁の反力は間違ったものになります。 2番目のケースは、節点が2つの平行な剛壁のセカンダリ節点の場合です。2つの剛壁が固定されている場合、節点は2つの剛壁に同時に接触できないために、運動条件の非適合の可能性は有りません。1つの剛壁が移動する場合も、移動剛壁が固定剛壁と交差しない限りは問題ありません。


図 1. 運動条件についてのRadiossワーニング
マルチプロセッサーのRadiossバージョンでは、ある運動条件が非適合だと2回の実行結果が異なる結果となる可能性があります。これはオプション/PARITH/ONが使われている場合でも起こり得ます。例えば、図 2に示されたようにセカンダリ節点が2つの直交しない剛壁に接触する場合、マルチプロセッサにより得られた結果は異なる可能性があります。剛壁1が剛壁2よりも前に計算された場合、速度V0は速度 V12に置き換えられます。剛壁2が剛壁1より前に計算された場合は、速度V0 は速度V21になります。マルチプロセッサコンピューターでは、どちらの剛壁が与えられるか、また、どの運動条件が与えられるかの順番は任意に決まり、あるサイクルから次のサイクル、または、ある実行から次の実行までに変更されます。


図 2. 運動条件の非適合での任意結果

Langrange乗数法が利用可能で、全てのLangrange乗数拘束の全体方程式を解くことにより、複数の節点拘束を同じ節点セットに与えることが可能です。ただし、両方の方法を同じセットの節点に混在して与えることはできませんが、両方の方法はそれらが異なる節点に対して与えられる限り、モデルで問題なく使うことができます。