AirSpring

空気ばねは、内部空気圧を調整することで支持する荷重に合わせて調整し、ライド高さを維持できるため、トラック、バス、および鉄道車両に広く使用されています。

通常は、シャシー上のバルブが車軸に機械的に連結されており、ライド高さが低すぎると、バルブが開いて高圧空気がコンプレッサーからスプリングに流れ込み、ライド高さが十分に上昇するとバルブが閉じます。逆に、ライド高さが高すぎると、バルブにより空気がスプリングから大気に放出され、ライド高さが十分に下がるとバルブが閉じます。一般的なサスペンションのライド運動やロール運動によってバルブが開かないよう、バルブには不感帯があります。

車軸とタイヤを上下させるアクチュエーターとして空気ばねが使用される場合もあります。トラックの積荷が重い場合は、空気ばねがふくらみ、車軸のタイヤが道路に押し付けられ、荷重が道路のより広い領域に分散されます。

そうでない場合、空気ばねは相互にまたはリザーバーに結合できます。例えば、リザーバーの容積が増えると、ライド高さの変化よりも、全容積の一部としての容積の増分変化の方が小さいため、スプリングレートが下がります。スプリングが相互にまたはリザーバーに結合されている場合は、スプリング間またはスプリングとリザーバー間の流れ抵抗を調整して、振動数に依存する反応を返すようにすることができます。

パラメータ

プロパティファイル
AirSpringのプロパティは、異なる静圧におけるスプリング力とスプリング高さを記述したテーブルを収めるTeimOrbit形式のプロパティファイルに保存されます。
Trim Height
AirSpringのトリム高さの初期値を決定します。トリム荷重とトリム高さを指定すると、MotionSolveによって、空気ばねプロパティファイルのデータから静的な内部スプリング圧力が判断されます。
Trim Load
スプリング高さがトリム高さの場合に空気ばねによって加えられる力です。MotionSolveでは、空気ばねプロパティファイルのデータに基づいて、トリム高さでトリム荷重が得られる静的な内部空気ばね圧力が判断されます。
Use Bump Stop
AirSpringの車高を制限するために内部バンプストップを含めることが可能です。詳細については、バンプストップのドキュメントを参照してください。
Scale
スケールオプションにより、プロパティファイルを直接修正することなく、力とスプリングの高さをスケーリングすることができます。
注: トリム荷重とトリム高さはスケーリングされません。

AirSpringの接続

AirSpringは、2つのボディの間のラインに沿って力を発生させ、単体またはペアのエンティティとして作成することができます。AirSpringを追加すると、ガイドバーにボディとポイントコレクターが表示され、Create Pairオプションが表示されます。
  1. 1.ガイドバーで、接続する1番目のボディを選択します。
    • Body 1をクリックして、モデリングウィンドウからボディを選択します。

      または

    • Body 1 Advanced Selectorをクリックして、ダイアログから目的のボディを選択します。
  2. 同様にBody 2入力コレクターをクリックして、結合する2番目のボディを選択します。
  3. ポイントを選択して、スプリングをBody 1に結合する位置を入力します。
    • Point on Body 1をクリックして、モデリングウィンドウからポイントを選択します。

      または

    • Point on Body 1 Advanced Selectorをクリックして、ダイアログから目的のポイントを選択します。
  4. 同様に、2番目のポイントを選択します。
    通常、空気ばねはシャシーと車軸の間で作動します。Body 1のPoint 1は空気ばねの上部を定義するのに対して、Body 2のPoint 2は空気ばねの下部を定義します。


    図 1. AirSpring接続ポイント
  5. AirSpring エンティティエディターを開いてパラメータを編集します。

AirSpringのプロパティファイル

AirSpringのプロパティは、異なる静圧におけるスプリング力とスプリング高さを記述したテーブルを収めるTeimOrbit形式のプロパティファイルに保存されます。モデルをソルバーに送ると、MotionSolveによって、TeimOrbitファイルから空気ばねのプロパティが読み込まれ、シミュレーションの際に使用されます。空気ばねプロパティファイルで指定された単位とモデルの単位が異なる場合、MotionSolveによって、空気ばねプロパティがモデルの単位に変換されますが、元のプロパティファイルは変更されません。

AirSpringプロパティファイルの例を以下に示します:
$---------------------------------------------------------------------ALTAIR_HEADER
[ALTAIR_HEADER]
FILE_TYPE     	=  'asg'
FILE_VERSION  	=  1.0
FILE_FORMAT   	=  'ASCII'
$--------------------------------------------------------------------------UNITS
[UNITS]
(BASE)
{length    force     angle       mass    time}
'm'       'newton'  'radians'    'kg'    'sec'
$--------------------------------------------------------------Airspring Properties
[PARAMETERS]
inner_diameter     	= .100
bag_diameter       	= .200
spring_height      	= .460
cylinder_height    	= .250
outer_diameter     	= .200
meniscus_height    	= .153
$-------------------------------------------------------------------------AIRSPRING
[AIRSPRING]
(Z_DATA)
{pressure}
137875  	$ p0
275790  	$ p1
413685  	$ p2
551581  	$ p3
689476  	$ p4
(XY_DATA)
{spring_height <m>  force@pressure <Newton>}
.3048   	17792       	29358.26    	41368.46    	55602.77    	67612.96
.3302   	13344       	25799.68    	35585.77    	47595.97    	57826.88
.3556   	12455       	22241.10    	31137.55    	40033.99    	48930.43
.381     	9786.087    	17792.88    	26689.32    	35585.77    	44482.21
.4064   	8896.422    	16013.59    	23130.75    	31137.55    	40033.99
.4318   	6672.33     	13344.66    	21351.46    	27578.97    	35585.77
.4572   	6227.5      	12455.02    	18682.53    	24910.04    	31137.55
.4826   	5337.865    	11120.55    	16903.24    	22241.10    	28913.44
.508     	4448.22     	9341.26     	15123.95    	20461.81    	26689.32
.5334   	4003        	8896.44     	13344.66    	17792.88    	22241.10
.5588   	3558        	7561.97     	11565.37    	15568.77    	19572.17
.5842   	2668        	5782.68     	9786.08     	13344.66    	17792.88
.6096   	1779        	4448.22     	8006.79     	11565.37    	14234.30

Headerブロック

HEADERブロックには、ファイルのタイプ、バージョン、および形式情報が示されます。
$---------------------------------------------------------------------ALTAIR_HEADER
[ALTAIR_HEADER]
FILE_TYPE     	=  'asg'
FILE_VERSION  	=  1.0
FILE_FORMAT   	=  'ASCII'

Unitsブロック

UNITSブロックは、ファイルで使用される長さ、質量、フォース、時間、角度の単位を指定します。単位は大文字と小文字を区別しません。meter、Meter、METER、MeTerはいずれも同じと解釈されます。UNITSブロックは、すべてのタイプのデータファイルがビルダーによって読み出されるために必要です。
$--------------------------------------------------------------------------UNITS
[UNITS]
(BASE)
{length    force     angle       mass    time}
'm'       'newton'  'radians'    'kg'    'sec'

Parametersブロック

PARAMETERSブロックは、ローリングローブスプリングについてAirSpringファイルに記述された内径、バッグ直径、スプリング高さ、シリンダー高さ、外径、およびメニスカス高さの値をリストします。ローリングローブスプリングは、トラック、バス、乗用車、鉄道車両、その他の車両内の1次サスペンションスプリングです。トーラス小半径とトーラス大半径を計算するには、次の式が使用されます。
  • トーラス大半径 = 内径/2+(バッグ直径-内径)/4
  • トーラス小半径 = (バッグ直径-内径)/4


図 2. AirSpring寸法パラメータ
$--------------------------------------------------------------Airspring Properties
[PARAMETERS]
inner_diameter     	= .100
bag_diameter       	= .200
spring_height      	= .460
cylinder_height    	= .250
outer_diameter     	= .200
meniscus_height    	= .153

AirSpringブロック

AIRSPRINGブロックには、さまざまな静圧でのスプリング力とたわみの関係が示されます。サブブロックは2つあります:
  • Z_DATA
  • XY_DATA

Z_DATAサブブロックには、力 x たわみのカーブごとの公称内部スプリング圧力が示されます。XY_DATAサブブロックには、複数の力 x たわみのカーブが含まれています。

XY_DATAサブブロックの1つ目の列はスプリング高さで、以降の列はZ_DATAサブブロックで定義された圧力ごとのスプリング力です。そのため、2列目のフォースは1つ目の内部圧力(137875 Newton/Meter2)に対応し、3列目のフォースは2つ目の内部圧力(275790 Newton/Meter2)に対応するといった具合になります。



図 3.

1列目で指定されたスプリング高さは、空気ばね高さの全範囲をカバーする必要があります。シミュレーション中に、スプリング高さが指定の高さ範囲外になった場合、MotionSolveはスプリング高さを使ってスプリング力を線形的に外挿します。

ユーザーインターフェースで指定されたトリム荷重とトリム高さに基づいて、Newton-Raphson法を使用し、スプラインデータ内の平衡圧を評価してから、計算された平衡圧に対応するフォース-変位カーブがシミュレーションに使用されます。

出力

MotionSolve.plt.abf.mrfファイルのAirSpring出力チャンネルを以下の表にまとめます。
タイプ コンポーネント
Displacement Spring Trim Height
Velocity Spring Velocity
Force スプリングフォース