Kinematics and Compliance

Kinematics and Compliance(K&C)テストは、1/2車両モデルの2つの接触パッチでさまざまな力を適用することによって実行され、サスペンションの特性が特定されます。フォースを適用することによるホイールの運動が、このイベント中に測定され、記録されます。これが、サスペンションのハードポイントの位置、スプリングレート、ブッシュレート、アーム長などの特定に役立ちます。

概要



図 1. Kinematics and Complianceイベント

詳細説明

イベントシミュレーションは全部で90秒間続きますが、4つの別々のサブイベントに分割することができます。
  • ライド
  • ロール
  • 接触パッチ力
  • ステアリング解析
注: ステアなしのアクスルには、ステアイベントは存在しません。同様に、デュアルアクスルには同期および非同期のロールイベントが存在します。これらに基づいて、シミュレーション終了時刻は異なる可能性があります。
ライド
イベントはライド解析から始まります。このイベントでは、すべてのホイールがジャッキを経由して垂直変位入力の影響を受けます。入力の振幅は同相の振幅と同じです。イベントのこの部分は10秒間です。
時間(秒単位) 動作
0~2.5 ホイールが設計位置からジャウンス位置に移動します。
2.5~5.0 ホイールがジャウンス位置から設計位置に移動します。
5.0~7.5 ホイールが設計位置からリバウンド位置に移動します。
7.5~10.0 ホイールがリバウンド位置から設計位置に移動します。
10.0 イベントが終了します。
ロール
このイベントは、ライドイベントが完了した直後に始まります。イベントのこの部分では、すべてのホイールがジャッキを経由して垂直変位入力の影響を受けます。入力振幅は同じですが、左ホイールと右ホイールの位相が180度ずれています。イベントのこの部分は10秒間です。
時間(秒単位) 動作
10~12.5 左ホイールが設計位置からジャウンス位置に移動します。

右ホイールが設計位置からリバウンド位置に移動します。

12.5~15.0 左ホイールがジャウンス位置から設計位置に移動します。

右ホイールがリバウンド位置から設計位置に移動します。

15.0~17.5 左ホイールが設計位置からリバウンド位置に移動します。

右ホイールが設計位置からジャウンス位置に移動します。

17.5~20.0 左ホイールがリバウンド位置から設計位置に移動します。

右ホイールがジャウンス位置から設計位置に移動します。

20.0 イベントが終了します。
接触パッチ力
このイベントは、ロール解析が完了した後に始まります。イベントのこのフェーズでは、接触パッチにおけるフォースをシミュレートすることにより、サスペンションのコンプライアンスが評価されます。このイベントの最初の20秒間に、横力が接触パッチに適用されます。横力はコーナリング状態をシミュレートします。次の20秒間に、前後力が接触パッチに適用されます。前後力は制動状態と加速状態をシミュレートします。このイベントの3つ目の部分は、ホイール軸を中心にトルクを適用することにより、ホイールの垂直軸を中心としたモーメントをシミュレートします。イベントのこの部分は20秒間です。
時間(秒単位) 動作
20~30 横力がすべての接触パッチに平行に適用されます。
30~40 横力が反対方向にすべての接触パッチに適用されます。
40~50 垂直軸(全体座標系Z)を中心にアライニングトルクがすべての接触パッチに同じ方向に適用されます。
50~60 垂直軸(全体座標系Z)を中心にアライニングトルクが反対方向にすべての接触パッチに同じ方向に適用されます。
60~70 前後力がグローバル原点Xの正の方向に沿ってすべての接触パッチに適用され、制動状態がシミュレートされます。
70~80 前後力がグローバル原点Xの負の方向に沿ってすべての接触パッチに適用され、加速状態がシミュレートされます。
80 イベントが終了します。
ステアリング解析
Kinematics and Compliance解析のこの最後の部分では、ステアリング入力が適用されたときのフロントサスペンションキネマティックがテストされます。イベントのこの部分は10秒間で、ステアリングモーションが両方向に適用されます。
時間(秒単位) 動作
80~85 ステアリングモーションが反時計回りの方向に適用されます。
85~90 ステアリングモーションが時計回りの方向に適用されます。
90 イベントが終了します。
イベント内のエンティティは、下の図に示すように、MotionView Projectブラウザに表示されます。


図 2. ブラウザビュー - Kinematic and Compliance Analysis

入力パラメータ

Kinematics and Compliance解析に使用されるVehicle Parametersについて、下の表で説明します。
名前 説明
Vehicle End フロントサスペンションは"Front"を選択してください。リアサスペンションは "Rear"。この情報はサスペンション設計係数(SDF)の計算に使用されます。利用可能なオプションは次のとおりです:FrontとRear。
Type of suspension サスペンションタイプに基づいて設定する必要があるオプション。この情報はサスペンション設計係数(SDF)の計算に使用されます。使用可能なオプションは、independentとdependentです。
Tire Static Loaded Radius (mm) その上に車両重量がかかるフロントタイヤの半径。
Tire Vertical Spring Rate (N/mm) タイヤのスプリングレート。この値は、特定の出力の計算に使用され、フォースベースのタイヤの使用時にはタイヤプロパティファイル内の値と一致する必要があります。
Vehicle CG Height (mm) 車両CG から地面までの垂直距離。
Wheelbase (mm) フロントとリアのホイール中心間の縦方向の距離。
Front braking ratio 前輪での制動力配分。1の値は、フロントでの100%の制動を意味します。
Front drive ratio フロントアクスルに配分されるエンジン出力の割合。1の値は、すべての出力がフロントアクスルに送られることを意味します。
Axle ratio 出力ギアの角速度に対する入力ギアの角速度の割合。アクスルのデファレンシャルのギア比または速度比と呼ばれることもあります。
Vehicle Weight (N) Newtonsで表される車両の総重量。
図 3. 車両パラメータ - 入力フォーム
Kinematics and Complianceイベントへの入力について、下の表で説明します。
名称 説明
Jounce travel in ride (mm) ライドにおいて地面に対して上方向に移動する垂直距離入力。
Rear rebound travel in ride (mm) ライドにおいて後輪が地面に対して下方向に移動する垂直距離入力。
Wheel travel in roll (jounce and rebound) (mm) 地面に対して両方向に移動する垂直距離入力。
Maximum lateral force (N) コーナリング中の状態をシミュレートするために接触パッチに適用される横力。
Maximum longitudinal force (N) 制動と加速をシミュレートするために接触パッチに車両の長さに沿って適用されるフォース。
Maximum aligning torque (Nmm) 垂直軸を中心に適用されるトルク。
Maximum steering angle +/- (Deg) コーナリングをシミュレートするためのハンドルでの回転入力。


図 4. Kinematic and Complianceパラメータ - 入力フォーム

Attachments

キネマティックおよびコンプライアンス解析では、以下のアタッチメントを使用します:
名前 説明
System 解析するシステム。通常はモデルシステムです。
Wheel Center ホイール中心のペアポイントをアタッチします。
Spindle align pt スピンドルのアライメントの基準となるペアポイントをアタッチします。
Lower kingpin pt 下側のキングピンポイントとして使用するペアポイントをアタッチします。
Upper kingpin pt 上側のキングピンポイントとして使用するペアポイントをアタッチします。
Wheel ホイールのペアボディをアタッチします。
Knuckle ナックルのペアボディをアタッチします。
Wheel spindle revjt ホイールボディの拘束に使用するペア回転ジョイントをアタッチします。
Steering Rack / Relay rodRack jt ラック&ピニオン式ステアリングシステム用のステアリングのラックボディにアタッチします。
Steering wheel ステアリングの回転モーションを適用するために使用するステアリングホイールの回転ジョイントをアタッチします。
Upper steer axis mrk. Body 上側のステアリング軸マーカーを定義するために使用するボディペアをアタッチします。


図 5. Kinematics and Complianceイベント - アタッチメント

データセット

Kinematics and Compliance解析には、3つのデータセットが含まれています。Vehicle ParametersとSuspension Travelは車両およびシミュレーションのパラメータを入力として使用します(入力パラメータの表をご参照ください)。データセットSteering Actuation Applicationは、ステアリングモーション / フォースの適用点と、それに沿って(またはその周囲に)モーション / フォースが適用される軸に関連する情報を使用します。 これは、SDF計算用にコンプライアンス行列を抽出するときのステアモーションのロックで使用されます。



図 6. Projectブラウザのビュー - Dataset “Full Vehicle Data”

Forms

Kinematics and Complianceイベントには、2つのフォームが含まれています。
フォーム 詳細
Kinematics and compliance parameters このフォームは、ジャウンスおよびリバウンド距離、ステアリング角、接触パッチ力などのシミュレーション条件を定義するために使用します。
Vehicle Parameters このフォームは、重量、CG高さ、ホイールベース、上下バネ係数などの車両条件を定義するために使用します。


図 7. Projectブラウザのビュー - Form “Kinematics and Compliance”


図 8. ダイアログビュー - Form “Vehicle Parameters”


図 9. ダイアログビュー - Form “Kinematics and Compliance Parameters”

グラフィックス

Kinematics and Compliance解析は、2つのタイヤがジャッキに接触した状態で車両が持ち上げられる2つのジャッキアップを表す2つのグラフィックスエンティティで構成されます。

このイベントで使用されるグラフィックスについて、次の表で説明します。
名前 タイプ 説明
Jack Cylinder Cylinder ジャッキ用の円筒形の柱を表します。
Jack Patch Box ジャッキ用の四角いプラットフォームを表します。


図 10. グラフィック表示 - “Kinematics and Compliance”内のGraphics


図 11. Projectブラウザのビュー - Graphics - Kinematics and Compliance

ジョイント

Kinematics and Compliance解析には、3つのジョイントが含まれています。そのうち2つはJackサブシステムにあります。

下の表で、使用されるジョイントについて詳しく説明します。
名前 タイプ 説明
Dummy fixed to Knuckle Fixed 接触パッチに配置されたダミーボディをナックルボディに結合し、ホイール中心に配置されます。
Jack trans jt Translational ジャッキボディをグラウンドボディに結合し、全体座標系のZに揃えられます。
Inplaneジョイント In plane ホイールとジャッキボディに結合し、接触パッチに配置されます。


図 12. Projectブラウザのビュー - Joints - Kinematics and Compliance

マーカー

Kinematics and Compliance解析には7つのマーカーが含まれています:
名前 説明
Wheel center marker このマーカーは、ダミーボディ上で定義され、ホイール中心に配置されます。テスト装置パラメータ配列はこのマーカーを参照します。
WC marker at ground マーカーは、グラウンドボディ上で定義され、ホイール中心に配置されます。テスト装置パラメータ配列はこのマーカーを参照します。
Kingpin axis marker マーカーは、ナックル上で定義され、ロアボールジョイントに配置され、アッパーボールジョイントと揃えられます。テスト装置パラメータ配列はこのマーカーを参照します。ステア軸の形状計算に使用されます。
Jack CP marker マーカーは、ジャッキ上で定義され、タイヤ接触パッチを参照するジャッキのアッパーポイント(Jack Geomu)に配置されます。
Upper steer axis ステア軸の形状計算に使用されるマーカー。
Wheel patch marker マーカーは、ホイール上で定義され、ホイールパッチに配置されます。このマーカーはパッチ力エンティティによって使用されます。
Ground patch marker マーカーは、グラウンドボディ上で定義され、ジャッキのアッパーポイント(Jack Geomu)に配置されます。


図 13. Projectブラウザのビュー - Markers - Kinematics and Compliance

ポイント

Kinematics and Compliance解析には、2つポイントが含まれています:
名前 説明
Jack geoml ジャッキの下部の位置を示すポイント。このポイントは、ジャッキ並進ジョイントによって参照されます。
Jack geomu ジャッキの最上位置を示すポイント。このポイントはタイヤ接触パッチポイントとしても使用され、ジャッキフォース、ジョイント、マーカー、出力、グラフィックスによって参照されます。


図 14. Projectブラウザのビュー - Points - Kinematics and Compliance

ソルバー変数

Kinematics and Compliance解析には、6つのソルバー変数エンティティが含まれています:
名前 説明
Left Feedback variable 全体座標系において、左のホイール中心の元の位置に対する、左のホイール中心マーカーの全体座標系Z変位を計算する式が含まれています。
Left Command variable 左のホイールの解析のライドフェーズとロールフェーズに関する式が含まれています。式については、この表の下で詳しく説明します。
Right Feedback variable 全体座標系において、右のホイール中心の元の位置に対する、右のホイール中心マーカーの全体座標系Z変位を計算する式が含まれています。
Right Command variable 右のホイールの解析のライドフェーズとロールフェーズに関する式が含まれています。式については、この表の下で詳しく説明します。
Steering Feedback variable 全体座標系において、ステアリングホイール中心の元の位置に対する、ステアリングホイールのGlobal Z Angular Displacementを計算する式が含まれています。
Steering Command variable 解析のステアリングフェーズに関する式が含まれています。式については、この表の下で詳しく説明します。
Left Command variable


図 15. ソルバー変数式に基づく左のホイール変位
Right Command variable


図 16. ソルバー変数式に基づく右のホイール変位
Steering Command variable




図 17. プロット – ソルバー変数式に基づく4つすべてのホイールのホイール変位


図 18. Projectブラウザのビュー - Solver Variables - Kinematics and Compliance解析

ソルバー微分方程式

フルビークルのKinematics and Compliance解析は、3つのソルバー微分方程式エンティティで構成されています。
名前 説明
Diff Left Jack 左ジャッキ作動力で使用される式が含まれています。
Diff Right Jack 右ジャッキ作動力で使用される式が含まれています。
Diff Steering ステアリング作動トルクで使用される式が含まれています。式については、この表の下で詳しく説明します。
Diff Left Jack expression in detail
3つのソルバー微分方程式の構造とロジックは、個別のソルバー変数値が使用される点を除いて同様です。“Diff Left Jack”を使用した例を以下に示します。



図 19. Projectブラウザのビュー - Solver Differentials - Kinematics and Compliance解析

ソルバー配列

Kinematics and Compliance解析には、Vehicle Parameter ArrayとTestrig Parameter Arrayという2つのソルバー配列が含まれています。
Vehicle Parameter array
Vehicle Parameter arrayには、SDFを計算するために使用される車両情報が含まれています。データの一部は、解析でポイントの位置とフォースを作成するためにも使用されます。データはVehicle Parameterフォームに入力されます。
Vehicle Parameter Array要素名 説明 使用法
Ds_vehpar.veh_end.ival Vehicle End

1 - フロントサスペンション

2 - リアサスペンション

3 - 2番目のリアサスペンション

サスペンションのタイプをSDFサブルーチンに伝達します。サブルーチンは、車両のどのエンドが解析されるかに応じて、特定のパラメータに対して異なる値を計算します。
Ds_vehpar.dif_mnt.ival マウントタイプの区分

0 - ボディにマウント

1 - ばね下マウント(軸と一体化)

アンチリフトおよびアンチダイブ計算において、SDF計算に使用されます。
Ds_vehpar.tire_slr.value タイヤの静的荷重半径(mm) “Jack GeomU”ポイントを見つけるために、およびSDF計算の多くで使用されます。
Ds_vehpar.tire_rate.value タイヤのスプリングレート(N/mm) SDF計算で使用されます。
Ds_vehpar.cg_height.value 車両重心の高さ。地面からZ方向のCGまでが計測されます(mm)。 SDF計算(特にアンチリフトおよびアンチダイブ計算)に使用されます。
Ds_vehpar.wheel_base.value 車両の軸間距離(mm)
Ds_vehpar.front_brake.value 合計ブレーキトルクに対する前部ブレーキトルクの比率(通常0.6~0.7)。
Ds_vehpar.front_drive.value 前部軸に適用されるエンジントルクを合計トルクで除算した比率。
Ds_vehpar.axle_ratio.value 解析対象のサスペンションの公称軸比(通常2.7~5.0の範囲内)
Ds_vehpar.veh_weight.value 車両総重量(Kg)
Testrig Parameter Array
Testrig parameter arrayには、ポイント、フォース、およびモーションのデータが含まれ、SDFサブルーチンに渡されて、SDF計算イベントを実行するために使用されます。Testrig parameter arrayは記号的に定義され、編集の必要はありません。
配列要素名 説明 使用法
mrk_wc.l.id Left Wheel Center Marker ID. Z軸はスピンドル軸と平行に車両内側を指し、ZX面は全体座標系のX軸方向に置かれます。その結果、マーカーのY軸は下方を指します。 左サスペンションのSDF計算の主要なポイント位置です。ほとんどの形状プロパティおよびほとんどのコンプライアントSDFパラメータは、このポイントを入力として使用して計算されます。
mrk_wc.r.id 右ホイール中心のマーカーID。Z軸はスピンドル軸と平行に車両内側を指し、ZX面は全体座標系のX軸方向に置かれます。その結果、マーカーのY軸は上方を指します。 右サスペンションのSDF計算の主要なポイント位置です。ほとんどの形状プロパティおよびほとんどのコンプライアントSDFパラメータは、このポイントを入力として使用して計算されます。
mrk_kp.l.id 左キングピン軸マーカーID。左下のボールジョイントに配置されたマーカーまたは左キングピン軸上のポイントを定義する位置です。マーカーのZ軸は左上のボールジョイントまたはキングピン軸上のポイントを定義するポイントを指します。 マーカーのZ軸は、車両の左側のキャスターおよびキングピン傾斜の計算に使用されます。
mrk_kp.r.id 右フロントキングピン軸マーカーID。右下のボールジョイント位置または右のキングピン軸上のポイントを定義する位置に配置されたマーカーです。マーカーのZ軸は右上のボールジョイントまたはキングピン軸上のポイントを定義するポイントを指します。 マーカーのZ軸は、車両の右側のキャスターおよびキングピン傾斜の計算に使用されます。
mrk_gnd.l.id グラウンドボディ上の左フロントホイール中心マーカーID。マーカーは、左のホイール中心の位置にあるグラウンドボディ上に存在します。Z軸は全体座標系Z軸に平行で、X軸は全体座標系X軸に平行です。 マーカーは左のホイール変位制御システム用で、かつ、SDFルーチンの左のホイール中心の変位の計算のためにも使用されます。
mrk_gnd.r.id グラウンドボディ上の右フロントホイール中心マーカーID。マーカーは、右のホイール中心の位置にあるグラウンドボディ上に存在します。Z軸は全体座標系Z軸に平行で、X軸は全体座標系X軸に平行です。 マーカーは右のホイール変位制御システム用で、およびSDFルーチンの右のホイール中心の変位の計算のためにも使用されます。
sfo_jack_actuator.l.i.id ジャッキと地面の間の左側フォースのIマーカーID。このフォースは、左ホイールサスペンションのモーションを駆動するために使用します。 フォースは、SDFサブルーチンの計算およびSDFルーチンによってレポートされるフォースに使用されます。IマーカーIDとJマーカーIDは、正しいフォースをリカバーするために必要です。
sfo_jack_actuator.r.i.id ジャッキと地面の間の右側フォースのIマーカーID。このフォースは、右ホイールサスペンションのモーションを駆動するために使用します。 フォースは、SDFサブルーチンの計算およびSDFルーチンによってレポートされるフォースに使用されます。IマーカーIDとJマーカーIDは、正しいフォースをリカバーするために必要です。
sfo_jack_actuator.l.j.id ジャッキと地面の間の左側フォースのJマーカーID。このフォースは、左ホイールサスペンションのモーションを駆動するために使用します。 フォースは、SDFサブルーチンの計算およびSDFルーチンによってレポートされるフォースに使用されます。IマーカーIDとJマーカーIDは、正しいフォースをリカバーするために必要です。
frc_frnt_jack.r.j.id 右のホイールサスペンションモーションを作動させるために使用される、ジャッキと地面の間の右フロントフォースのJマーカーID。 フォースは、SDFサブルーチンの計算およびSDFルーチンによってレポートされるフォースに使用されます。IマーカーIDとJマーカーIDは、正しいフォースをリカバーするために必要です。
sfo_jack_actuator.r.j.id ジャッキと地面の間の右側フォースのJマーカーID。このフォースは、右ホイールサスペンションのモーションを駆動するために使用します。 フォースは、SDFサブルーチンの計算およびSDFルーチンによってレポートされるフォースに使用されます。IマーカーIDとJマーカーIDは、正しいフォースをリカバーするために必要です。
j_st_wheel.i.id ステアリングホイールまたはラックIマーカー。 瞬時ステア軸を計算するためにコンプライアンス行列で使用されるステアリング入力マーカー。
-1 ステアリングホイールまたはラックJマーカー - ユーザー構築のテストで使用され、次のパラメータが負の場合に有効。 瞬時ステア軸を計算するためにコンプライアンス行列で使用されるステアリング入力マーカー。
ds_steering_actuation_application.int_api_value.value 1:6で方向を選択(TX、TY、TZ、RX、RY、RZなど)し、マーカー10と11の符号を交換し、負の符号で11が作動マーカーになるようにします。 瞬時ステア軸を計算するためにコンプライアンス行列で使用されるマーカー(10または11のいずれか)と、使用されるステアリングマーカー上の軸を決定します。
mrk_upr_mnt.l.id 左トップマウントマーカー アッパーボールジョイント、またはアッパーコントロールアーム上の何らかの近似に配置されます。
mrk_upr_mnt.r.id 右トップマウントマーカー
mrk_jack_cp.l.id 左ジャッキ接触パッチ ジャッキボディ上のマーカーで、Zが上方向を指します。
mrk_jack_cp.r.id 右ジャッキ接触パッチ


図 20. Projectブラウザのビュー - Solver Arrays - Kinematics and Compliance解析

フォース

Kinematics and Compliance解析には、3つフォースエンティティが含まれています。
名前 説明
Jack Vertical Actuator これは、ジャッキに作用するAction Reactionフォースペアで、地面に対して垂直方向に反作用します。このフォースは、左と右のジャッキのSolverDiff IDを指すDIF()です。

DIFが静解析および擬似静解析時に評価される場合、ソルバー微分方程式の導関数はゼロに設定されます。結果として、DIFによってフォースが生成され、測定されたホイール変位が、コマンドのホイール変位に従うよう強制されます。

Steering Actuator ステアリングホイール上で作用し、車体上でステアリングホイール整列方向に反作用する作用反作用トルク。このトルクはSolverDiffを指し、目的のステアリング角度に達するようにステアリングホイールが回転するため、適切な量のトルクが確実に適用されるようにします。目的のステアリング角度は、ソルバー変数“Steering Command variable”で提供されます。
Patch Force これは、前後力、横力、およびアライニングフォースをシミュレートするための参照として、ホイールパッチマーカー付きの接触パッチに適用される作用のみのフォースペアです。

各方向のフォースが以下に示す式を使用して定義されます。

Fx - 左
`SHF(time,60,{ds_travel.max_long_force.value},0.1*PI,0,0)*
STEP(TIME,60,0,60.01,1)*STEP(TIME,79.9,1,80,0)`

式には、値がKnC Parameterデータセットで定義された正弦波フォース入力を0.1PIの周波数で60~80秒の間適用する単調和関数が含まれてい0.1PI

Fy - 左
`SHF(time,20,{ ds_travel.max_lat_force.value},0.2*PI,0,0)*
STEP(TIME,20,0,20.01,1)*STEP(TIME,39.9,1,40,0)`

式には、値がKnC Parameterデータセットで定義された正弦波フォース入力を0.2PIの周波数で20~40秒の間適用する単調和関数が含まれてい0.1PI

Fz – 左 0
Tx – 左 0
Ty – 左 0
Tz – 左
`SHF(time,40,{ds_travel.max_algn_torq.value},0.2*PI,0,0)*
STEP(TIME,40,0,40.01,1)*STEP(TIME,59.9,1,60,0)`

式には、値がKnC Parameterデータセットで定義された正弦波トルク入力を0.2PIの周波数で40~60秒の間適用する単調和関数が含まれてい0.2PI

Fx - 右
`SHF(time,60,{ds_travel.max_long_force.value},0.1*PI,0,0)*
STEP(TIME,60,0,60.01,1)*STEP(TIME,79.9,1,80,0)`

式には、値がKnC Parameterデータセットで定義された正弦波フォース入力を0.1PIの周波数で60~80秒の間適用する単調和関数が含まれてい0.1PI

Fy - 右
`SHF(time,20,{ds_travel.max_lat_force.value},0.2*PI,0,0)*
STEP(TIME,20,0,20.01,1)*STEP(TIME,29.9,1,30,0)-SHF(time,30,{ds_travel.max_lat_force.value},0.2*PI,0,0)*
STEP(TIME,30,0,30.01,1)*STEP(TIME,39.9,1,40,0)`

式には、値がKnC Parameterデータセットで定義された正弦波フォース入力を0.2PIの周波数で20~40秒の間適用する単調和関数が含まれてい0.1PI20~30秒の間の最初の10秒間は、フォースが正のY方向になり、次の10秒間は反対方向になります。これは、左ホイールに対して平行の横力と反対の横力をシミュレートするために行われます。

Fz – 右 0
Tx – 右 0
Ty – 右 0
Tz – 右
`SHF(time,40,{ds_travel.max_algn_torq.value},0.2*PI,0,0)*
STEP(TIME,40,0,40.01,1)*STEP(TIME,49.9,1,50,0)-SHF(time,50,{ds_travel.max_algn_torq.value},0.2*PI,0,0)*
STEP(TIME,50,0,50.01,1)*STEP(TIME,59.9,1,60,0)`

式には、値がKnC Parameterデータセットで定義された正弦波トルク入力を0.2PIの周波数で40~60秒の間適用する単調和関数が含まれてい0.2PI40~50秒の間の最初の10秒間は、トルクが左ホイールと同じ方向になり、次の10秒間は左ホイールと反対方向になります。これは、左ホイールに対して平行のアライニングトルクと反対のアライニングトルクをシミュレートするために行われます。



図 21. Projectブラウザビュー - Forces - Kinematics and Compliance解析

Joints

Kinematics and Compliance解析には、3つのジョイントが含まれています。

下の表で、それぞれのジョイントの使用法について説明します。
名前 説明
Dummy Fixed to Knuckle ナックルをダミーボディに結合し、ホイールの中心に配置される固定ジョイントペア。
Jack trans jt. ジャッキをグラウンドボディに結合し、Jack geomlポイントに配置される並進ジョイント。
Inplaneジョイント ホイールをジャッキに結合し、Jack Geomuポイント(タイヤパッチ位置)に配置される面内ジョイント。


図 22. Projectブラウザビュー - Joints - Kinematics and Compliance解析

Motions

Kinematics and Compliance解析には1つモーションが含まれています:
名前 説明
Wheel spindle motion ホイールスピンドルモーションは、ホイールとスピンドル間のロックを提供し、ホイールとタイヤが回転しないようにします。


図 23. Projectブラウザビュー - Motions - Kinematics and Compliance解析

Outputs

Kinematics and Compliance解析は、全部で47個の出力エンティティで構成されています。これらは、大まかに2つのグループ(静的設計係数出力(SDF)と非SDF)に分けることができます。

SDF出力は、このイベントで定義されたSolverArraysを使用するサブルーチンを使用して計算されます。詳細については、SDF出力をご参照ください。SDF出力は、下の図に示すように、サブシステムSuspension Design Factors (SDF) Requests内で編成されます。
図 24. Projectブラウザビュー - SDF outputs - Kinematics and Compliance解析
非SDF出力は一般的なMotionView出力リクエスト(Force、Displacement、Velocity、Acceleration、Expression)に基づきます。下の表は、非SDF出力について説明しています。
名前 説明
Wheel Center Height – Left 全体参照フレーム内の左のホイールと左ジャッキ間の変位を測定し、出力します。
Wheel Center Height – Right 全体参照フレーム内の右のホイールと右ジャッキ間の変位を測定し、出力します。
Left Vertical Force 全体参照フレーム内の面内ジョイント(左)におけるフォースの出力を測定し、記録します。
Right Vertical Force 全体参照フレーム内の面内ジョイント(右)におけるフォースの出力を測定し、記録します。
Left Applied Tire Patch Force 全体参照フレーム内の左タイヤ接触パッチにおけるフォースを測定し、出力します。
Right Applied Tire Patch Force 全体参照フレーム内の右タイヤ接触パッチにおけるフォースを測定し、出力します。
Left Wheel Center Displacements ホイール中心マーカー参照フレーム内の左前輪とグラウンドボディ間の変位を測定し、出力します。
Right Wheel Center Displacements ホイール中心マーカー参照フレーム内の右前輪とグラウンドボディ間の変位を測定し、出力します。
Roll Angle / Track width F2 ➔ 次の式を使用して回転角を計算します:
`(ATAN(DZ({b_wheel.l.cm.idstring}, {b_wheel.r.cm.idstring},{MODEL.Global_Frame.idstring} )/DY({b_wheel.l.cm.idstring}, {b_wheel.r.cm.idstring}, {MODEL.Global_Frame.idstring})))*RTOD`
F3 ➔ 次の式を使用してトラック幅を計算します:
`-DY({mrk_patch.l.idstring},{mrk_patch.r.idstring})`
Left Caster/Kingpin inclination F2 ➔ 左ホイールのキャスター角を計算します:
`(AY({mrk_kp.l.idstring},{MODEL.Global_Frame.idstring})) *RTOD`
F3 ➔ 左ホイールのキングピンの傾斜を計算します:
`-(AX({mrk_kp.l.idstring},{MODEL.Global_Frame.idstring})) *RTOD`
Right Caster/Kingpin inclination F2 ➔ 右ホイールのキャスター角を計算します:
`(AY({mrk_kp.r.idstring},{MODEL.Global_Frame.idstring})) *RTOD`
F3 ➔ 右ホイールのキングピンの傾斜を計算します:
`(AX({mrk_kp.r.idstring},{MODEL.Global_Frame.idstring})) *RTOD`
図 25. Projectブラウザビュー - non-SDF outputs - Kinematics and Compliance解析

Templates

Kinematics and Compliance解析には、2つのテンプレートが含まれています。

1つ目のテンプレートKC Command Linesは、出力ファイル制御ステートメントと静解析ブロック(エンティティ状態が変更され、シミュレーションの開始時刻と終了時刻が指定される)を定義します。

2つ目のテンプレートは、ホイール中心からタイヤパッチを指すRadialベクトルを返します。これはタイヤパッチの位置を示すために使用されます。

下の表は、1つ目のテンプレートKC Command Linesについて説明しています:
ステートメント 説明
{sim_time = sim_data.end_time.value
 print_int = sim_data.print_interval.value
 if(sim_time>20)
 ride_roll_time = 20
 else
 ride_roll_time = sim_time
 endif}
これは、ソルバーコマンドを評価してMotionSolve XMLの<command/>セクションに送信することを単純にパラメータ化したものです。IF条件は、Ride/Roll解析の後続行するかどうかを決定します。
<ResOutput      
       plt_angle   = "YAW_PITCH_ROLL"    
/>    
<ResOutput
       mrf_file    = "TRUE" 
/>  
  <ResOutput
       plt_file    = "TRUE"    
/>   
 <H3DOutput 
       switch_on   = "TRUE"    
       increment   = "1" 
/>  
  <ResOutput 
       abf_file    = "TRUE" 
/>
出力ブロックは、ソルバーが生成する必要のある結果フォーマットとファイルを定義します。
<Deactivate	
	element_type = "MOTION"
	element_id   = "{mot_spin.l.idstring}"  
/>
<Deactivate	
	element_type = "MOTION"
	element_id   = "{mot_spin.r.idstring}"  
/>
 
この2つのDeactivateステートメントのセットは、ホイールが動かないようにロックしていたホイールモーションをOFFにします。
<Simulate       
	analysis_type  = "Static" 
      	end_time       = "{ride_roll_time}"      
 	print_interval = "{print_int}"    
/>
静的シミュレーションを20秒間実行します。
{if(sim_time>20)}
<Activate	
	element_type = "MOTION"
	element_id  = "{mot_spin.l.idstring}"  
/>
<Activate	
	element_type = "MOTION"
	element_id  = "{mot_spin.r.idstring}"  
/>
<Simulate       
	analysis_type       = "Static" 
      	end_time            = "{sim_time}"      
 	print_interval      = "{print_int}"    
/>
{endif} 
シミュレーションが20秒に到達した後(つまりシミュレーションがRideおよびRoll解析を実行後)、Activateステートメントと結合したIF条件で、ホイールモーションがONになり、ホイールがロックされます。次に、静的シミュレーションが20秒から終了時刻 = {sim_time}(Kinematic and Compliance解析の90秒間)まで進行します。
<Stop/>
シミュレーションを停止します。


図 26. Projectブラウザビュー - Templates - Kinematics and Compliance解析

サブシステム

Kinematics and Compliance解析には、3つのサブシステムが含まれています。

Jackサブシステムには、2つのジョイントと3つのベクトルがあります。ジョイントはジャッキを地面およびホイールに結合します。ベクトルは全体座標軸に平行で、参照ベクトルとして使用されます。


図 27. Projectブラウザビュー - Jack Sub-System - Kinematics and Compliance解析
Marker for the requestサブシステムには、地面参照を得るために使用できる4つのマーカーが含まれています。


図 28. Projectブラウザビュー - Marker for the request Sub-System - Kinematics and Compliance解析
Suspension Design Factors (SDF) Requestsサブシステムには、36のSDF出力リクエストが含まれています。


図 29. Projectブラウザビュー - Suspension Design Factors (SDF) Requests Sub-System - Kinematics and Compliance解析